Hemmelgarn BR et al. Relation between kidney function, proteinuria, and adverse outcomes. JAMA. 2010 Feb 3;303(5):423-9.
院長ブログ
2021.08.29 | お知らせ
健康講座266 タンパク尿と腎不全
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
慢性腎不全患者、糸球体濾過量(GFR)が同レベルなら、蛋白尿濃度が高い患者の方が、死亡や心筋梗塞のリスクが増大するようです。カナダCalgary大学内科が、92万人以上について調べ明らかにしたものでございます。
92万人超を中央値35ヵ月で追跡
同研究グループは、2002~2007年にかけて、カナダのアルバータ州で血清クレアチニン値を1回以上測定した人で、登録時に腎臓移植を必要としなかった、92万985人の成人について調査を行った。蛋白尿については、試験紙法とアルブミン・クレアチニン比(ACR)による測定を行った。追跡期間の中央値は、35ヵ月。被験者の89.1%が、GFR値が60mL/min/1.73m²以上だった。
GFR量が多く高濃度の蛋白尿群の死亡率は、正常値群の2倍以上
結果、蛋白尿が高濃度(試験紙法によるもの)で、GFR値が60mL/min/1.73m²以上の群の死亡率は、7.2/千人・年だった。これに対し、蛋白尿正常でGFR値が45~59.9mL/min/1.73m²の群では、2.9/千人・年で、2倍以上に上ることが認められました。蛋白尿をACRで測定した場合も、それぞれの群の補正後死亡率は、15.9/千人・年と7.0/千人・年と、率比は2.3(同:2.0~2.6)だった。
また、心筋梗塞による入院や末期腎疾患、血清クレアチニン値の倍増といったイベントリスクについても、両群を比較した際、同様の傾向がみられたのでございます。
タンパク尿を時々検査するのも良いかもしれません。
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