院長ブログ
2021.08.16 | お知らせ
健康講座215 新型コロナワクチン接種 アナフィラキシーの注意点
こんにちは。
小川糖尿病内科CLでございます。
新型コロナワクチン接種も進む中、アナフィラキシーのご質問が多いようです。
これに関して少し解説をしてみたいと思います。
まず、前提条件として腕の痛みなどの注射部位反応や筋肉痛、頭痛、寒気、倦怠感、発熱などの反応は、ワクチンに対する身体の正常な免疫反応を反映しているもので、それらは数日以内に消失することがほとんどです。
そして、わが国における新型コロナワクチン接種後に起こったアナフィラキシーの報告で信頼に足るものは100万回あたり7件と報告されており、例えば、医療機関で使用される造影剤(100万回あたり約400件)や肺炎などの感染症で使用される抗生物質(100万回あたり100~500件)に比べると極めて少ないという事実がございます。そもそもですよ、今回の新型コロナワクチンに限らず一般にワクチンはほかの医薬品に比べてアナフィラキシーが少ないと言われているのです。もちろん、ごく稀とはいえ誰にでも新型コロナワクチンによるアナフィラキシーがあり得ますので、個人的にできる予防策があればそれに越したことはないです。
しかしながら、残念なことを申し上げると、アナフィラキシーを増強させる促進要因(飲酒、運動、月経前状態など)2)はいくつか明らかになっているものの、実際にアナフィラキシーが発症する際にはさまざまな要因が絡み合うため、明確な予防策は存在しないのでございます。
しかしながら、残念なことを申し上げると、アナフィラキシーを増強させる促進要因(飲酒、運動、月経前状態など)2)はいくつか明らかになっているものの、実際にアナフィラキシーが発症する際にはさまざまな要因が絡み合うため、明確な予防策は存在しないのでございます。
とはいえ、予防策が断定できなくとも、ワクチン接種日の数日前から体調を整えておくことは必須であるのは言うまでもございません。また、ワクチン接種の可否について、リスク因子の有無を正確に見極めることも大事でございます。その際に参考になるのは、アナフィラキシーの主な原因が新型コロナワクチンの主成分ではなく添加物(ポリエチレングリコール[PEG]やポリソルベートなど)との報告であります。実際にファイザー製やモデルナ製にはPEGが、アストラゼネカ製にはPEGに交差反応性のあるポリソルベート80が添加されているのです。
一方、これらの賦形剤は多くの医薬品(注射薬、錠剤、外用薬、など)や化粧品に(PEGはマクロゴールの名称で)広く含有されており、医療機関で扱っている医薬品4,000種類以上に含まれているのです。つまり、多くの人が普段から定期的にこれらを体内に取り込んでいることになえます。もちろん、その接種経路により症状誘発の程度が異なることはあり得るが、定期処方薬にそれらが含有されていることを確認した上で、あなたは一般に新型コロナワクチンの原因と言われている成分を毎日服用しているのに普段何ともないのですから、そんなに心配することはないと考えることもできます。
現在、PEGは日本薬局方には医薬品添加物として、分子量200、300、400、600、1000、1500、1540、4000、6000、20000が登録されており、添付文書ではマクロゴール◯◯や下記のようにPEG◯◯などと記載されていることが多いようです(◯◯は分子量)。
一方、これらの賦形剤は多くの医薬品(注射薬、錠剤、外用薬、など)や化粧品に(PEGはマクロゴールの名称で)広く含有されており、医療機関で扱っている医薬品4,000種類以上に含まれているのです。つまり、多くの人が普段から定期的にこれらを体内に取り込んでいることになえます。もちろん、その接種経路により症状誘発の程度が異なることはあり得るが、定期処方薬にそれらが含有されていることを確認した上で、あなたは一般に新型コロナワクチンの原因と言われている成分を毎日服用しているのに普段何ともないのですから、そんなに心配することはないと考えることもできます。
現在、PEGは日本薬局方には医薬品添加物として、分子量200、300、400、600、1000、1500、1540、4000、6000、20000が登録されており、添付文書ではマクロゴール◯◯や下記のようにPEG◯◯などと記載されていることが多いようです(◯◯は分子量)。
<各ワクチンに含有される主な添加物>
・コミナティ筋注(ファイザー):2-[(ポリエチレングリコール)-2000]- N,N-ジテトラデシルアセトアミド
・COVID-19ワクチンモデルナ筋注(モデルナ):λ1, 2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メチルポ リオキシエチレン(PEG2000-DMG)、トロメタモール(アナフィラキシー報告あり)
・バキスゼブリア筋注(アストラゼネカ):ポリソルベート80
・COVID-19ワクチンモデルナ筋注(モデルナ):λ1, 2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メチルポ リオキシエチレン(PEG2000-DMG)、トロメタモール(アナフィラキシー報告あり)
・バキスゼブリア筋注(アストラゼネカ):ポリソルベート80
アナフィラキシーの既往がなくても注意が必要な場合があります。PEGやポリソルベートに対するアレルギーが考えにくい場合でも、喘息患者のなかでもコントロール不良な人、そして、“かくれ喘息”の人は注意したいです。喘息はアナフィラキシーの重症化リスクの1つであるため、喘息治療をしていないが、ゼーゼー、ヒューヒューと喘息様の症状を有する人、治療を続けていても発作が多かったりコントロールが不良だったりする人は、ワクチン前にしっかり診断と治療を受け、コントロールしておくことは肝要です。接種後には「通常の2倍の時間、30分間は経過観察をさせて頂きます。
これらを踏まえ、アナフィラキシー発症リスクの高い例と注意すべきは
<アナフィラキシーに注意すべき患者像>( )内は主な可能性
・高齢者(薬剤に過敏歴がある場合、化粧品使用とその経験が長い)
・女性(化粧品の使用率が高く、PEGへの経皮感作の可能性がある)
・喘息の既往(コントロール不良、発作が多い)、かくれ喘息
これらを踏まえ、アナフィラキシー発症リスクの高い例と注意すべきは
<アナフィラキシーに注意すべき患者像>( )内は主な可能性
・高齢者(薬剤に過敏歴がある場合、化粧品使用とその経験が長い)
・女性(化粧品の使用率が高く、PEGへの経皮感作の可能性がある)
・喘息の既往(コントロール不良、発作が多い)、かくれ喘息
<アナフィラキシーの発生リスクを探る>(優先順)
1)アナフィラキシーに最もリスクがある患者は“PEGやポリソルベートによるアナフィラキシー歴あるいは1回目のワクチン接種でアナフィラキシーがあった”人。その場合には接種を見送る/2回目接種を見送るまたは慎重に検討する必要がある。
2)次に注意すべきは、“原因不明あるいは不特定多数の医薬品などによるアナフィラキシー歴(PEGやポリソルベートに対するアレルギーの可能性を有する)”がある人。この人は可能な限り主治医に事前相談し、集団接種会場ではなく医療機関での個別接種が望ましい。
3)“アナフィラキシー歴はあるが、PEG・ポリソルベートなどの賦形剤以外の物質(食物、金属など)が原因として確定している”人は通常通りワクチン接種を行っても差し支えないと言えます。
アレルギー反応にはアナフィラキシーや花粉症、食物アレルギーなどを引き起こすI型、II型(血小板減少症など)、III型(SLEや関節リウマチなど)、IV型(接触皮膚炎など)が存在するが、食物アレルギーはアナフィラキシーと同型に分類されるます。これについては、日本アレルギー学会が今年3月に公開したアナウンスメント3)にも「少なくとも現時点では花粉、食物などの特定の抗原に対する I 型アレルギーや、アナフィラキシー症状を伴わない喘息、アトピー性皮膚炎などのアトピー疾患であることが、新型コロナウイルスワクチンに対する過敏性を予測するものではないことを意味すると示されております。
2)次に注意すべきは、“原因不明あるいは不特定多数の医薬品などによるアナフィラキシー歴(PEGやポリソルベートに対するアレルギーの可能性を有する)”がある人。この人は可能な限り主治医に事前相談し、集団接種会場ではなく医療機関での個別接種が望ましい。
3)“アナフィラキシー歴はあるが、PEG・ポリソルベートなどの賦形剤以外の物質(食物、金属など)が原因として確定している”人は通常通りワクチン接種を行っても差し支えないと言えます。
アレルギー反応にはアナフィラキシーや花粉症、食物アレルギーなどを引き起こすI型、II型(血小板減少症など)、III型(SLEや関節リウマチなど)、IV型(接触皮膚炎など)が存在するが、食物アレルギーはアナフィラキシーと同型に分類されるます。これについては、日本アレルギー学会が今年3月に公開したアナウンスメント3)にも「少なくとも現時点では花粉、食物などの特定の抗原に対する I 型アレルギーや、アナフィラキシー症状を伴わない喘息、アトピー性皮膚炎などのアトピー疾患であることが、新型コロナウイルスワクチンに対する過敏性を予測するものではないことを意味すると示されております。
新型コロナに罹患した際の症状は死に至る場合もあります。感染から回復しても長引く後遺症(疲労感・倦怠感や息切れ…)に悩まされることになり、それらの症状からいつ完全回復を遂げられるかはまだ明らかにされておりません。ワクチン接種時の一時的な副反応症状(発熱、倦怠感など)と発症率が低く適切な治療により致命的になることがほとんどないアナフィラキシー、どちらのリスクが自分にとって危険であるのかをはかりにかけてご判断頂きたいです。
参考になれば幸いです。
参考文献・参考サイト