Antonelli M, et al. Lancet Infect Dis. 2021 Sep 1.
院長ブログ
2021.09.29 | お知らせ
健康講座328 新型コロナウイルスのブレイクスルー感染
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
COVID-19ワクチンの2回接種を終了していても、その後感染するという「ブレークスルー感染」といものがあるようです。これらのリスク因子を調査した研究結果がThe Lancet Infectious diseases誌に掲載されておりました。英国・キングス・カレッジ・ロンドンからは、ワクチン接種後の感染におけるリスク因子を調査するために、英国のCOVID追跡アプリの利用者である成人から得られた自己申告データを用いた大規模なケースコントロール研究を行ったようです。
2020年12月8日~2021年7月4日の間にCOVID-19ワクチンの1回目または2回目の接種を受け、接種前の検査で陰性だった者を対象として、以下の群に分けた。
・1回目接種後14日以上経過し、COVID-19検査が陽性(症例群1)
・2回目の接種後7日以上経過し、検査が陽性(症例群2)
・1回目接種後14日以上経過し、2回目の接種前の検査が陰性(対照群1)
・2回目の接種後7日以上経過し、検査が陰性(対照群2)
主な結果は以下のとおりでございます。
・期間内に124万9例が1回目のワクチン接種を報告し、そのうち6,030例(0.5%)がその後に陽性反応を示した(症例群1)。また、97万1,504例が2回目のワクチン接種を報告し、そのうち2,370例(0.2%)が陽性反応を示した(症例群2)。
・危険因子分析では、フレイルは高齢者(60歳以上)における1回目接種後の感染と関連し(オッズ比[OR]1.93)、貧困度の高い地域の居住者は1回接種後の感染リスクが高かった(OR:1.11)ようです。非肥満(BMI<30kg/m2)は1回目接種後の感染リスクが低かったようです。
・ワクチン接種を受けた感染者では、ワクチン接種を受けていない感染者に比べて、ほぼすべての症状が報告される頻度が低く、とくに60歳以上の場合、ワクチン接種を受けた参加者は、完全に無症状である可能性が高かった。
・年齢とワクチン接種後の感染との間には有意な逆相関が認められた。
要するにですよ、高齢者ほどワクチン接種後の感染リスクが低下することがわかったのです。一方で、フレイルの高齢者や貧困地域に住む人々はワクチン接種後の感染リスクが高く、ワクチン接種後もソーシャルディスタンスやその他の感染防止策を取り続ける必要があるかもしれません。
原著