院長ブログ

健康講座308 飽和脂肪酸と注意力

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 チーズバーガーとフライドポテトを注文するのは、頭が悪くなってしまうかもしれません。米オハイオ州立大学の小規模な研究によると、飽和脂肪酸が多く含まれる食事を1回食べるだけで、注意力が低下する可能性が示されたのです。

 飽和脂肪酸は、赤身肉や乳製品、ココナツオイルやパーム油などに含まれています。米国心臓協会(AHA)によると、飽和脂肪酸を取り過ぎるとコレステロール値が上昇して、動脈が詰まりやすくなるようです。さらに、影響はそれだけではないようです。

 食事はパフォーマンスに影響を与える。ランチの後に集中力が続かないという話もよく聞かれると思います。今回、1回の食事が注意力に与える短期的な影響を明らかにするため、51人(平均年齢53±8歳)の女性を対象とする二重盲検ランダム化クロスオーバー試験を実施したのです。

 対象者全体を2群に分け、飽和脂肪酸が多く含まれる食事、またはひまわり油を使った不飽和脂肪酸が多く含まれる食事のいずれかを摂取してもらい、食事の5時間後にコンピュータを使った検査で注意力を測定しました。いずれの食事も、エネルギー量は930kcal、脂質は60gで統一し、食前12時間は絶食してもらったものです。

 初回の検査から1~4週間後に、今度は初回に食べた食事とは異なる方の食事を摂取してもらい、同様の検査を実施した。初回と2回目の検査の結果を統合した解析により、飽和脂肪酸が多い食事を摂取した後では不飽和脂肪酸が多い食事を摂取した後と比べて、注意力の検査スコアが11%低いことが分かったのです

 腸管の透過性の指標(内毒素結合蛋白質など)が高い女性では、飽和脂肪酸が多い食事と不飽和脂肪酸が多い食事のいずれを摂取した場合も、その後にリーキーガット(腸管壁浸漏)の亢進が認められたと報告している。腸管から細菌や有毒な物質が流れ出して血流に混ざるリーキーガット症候群に関しては、さまざまな意見があるのですが、日常的に飽和脂肪酸を取り過ぎることでリーキーガットが引き起こされるのではないかと考えられています。

 上記より、果物や野菜、特に色の濃い野菜の摂取量を増やすのが望ましいです。また、植物性食品や全粒穀物を中心とした食事を取り、赤身肉の摂取を減らすことも、何度も申し上げている通りです。
原著