院長ブログ

健康講座297 プレ・プロバイオティクスと肺がん

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックです。

 

 いわゆる善玉菌の栄養源である「プレバイオティクス」と、善玉菌を含む食品である「プロバイオティクス」の摂取は有益なのでしょうか。米国・ヴァンダービルト大学医療センターでは、代表的な食品成分として、プレバイオティクスの「食物繊維」と、プロバイオティクスの「ヨーグルト」の摂取と肺がんリスクとの関連を調べたようでございます。欧米およびアジアで実施された研究10件の解析の結果、食物繊維とヨーグルトの摂取は、肺がんリスクの低下と関連することが示されたということでございます。食物繊維もヨーグルトも、腸内微生物叢および代謝経路の調節を介してさまざまな健康上の有益性をもたらすことは知られていますが、肺がんリスクとの関連については珍しい研究です。結論としては、プレバイオティクスとプロバイオティクスの肺がん発症に対する潜在的な予防機能を示すものであったと考えられます。

 研究グループは、欧米およびアジアで実施された研究10件、合計144万5,850例(成人)について、2017年11月~2019年2月にデータ解析を行ったようです。

 主要評価項目は、肺がん(腺がん、扁平上皮がん、小細胞がんの組織型に分類)の発症。食物繊維ならびにヨーグルトの摂取量は検証済みの調査票で測定し、参加者個々のデータを用いて食物繊維ならびにヨーグルトの摂取と肺がんリスクとの関連について、分析しました。

 主な結果は以下のとおりでございます。

・144万5,850例の内訳は、男性62万7,988例(平均年齢:57.9歳)、女性81万7,862例(54.8歳)であった。
・追跡期間中央値8.6年における肺がんの発症記録は、1万8,822件であった。

・食物繊維とヨーグルトの摂取を合わせて検討した場合、食物繊維もヨーグルトも摂取量が最も高い群では、食物繊維の摂取量が最も少なくヨーグルトをまったく摂取しない群に比べ、肺がんのリスクが30%以上低下しとのことでございます。

原著