院長ブログ

健康講座336 妊娠中のインフルエンザワクチン接種

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


 妊娠中の母親のインフルエンザワクチン接種は、生まれた子供の健康に悪影響を及ぼすことはないと報告があります。カナダ・ダルハウジー大学から、追跡期間平均3.6年間の後ろ向きコホート研究の結果が出ています。妊娠中に季節性インフルエンザワクチンを接種することで妊婦や新生児のインフルエンザ疾患を減らすことができます。


 研究グループは、出生登録健康管理データを用い、2010年10月1日~2014年3月31日の間にカナダで生まれた出生児を対象に、母親の妊娠中の季節性インフルエンザワクチン接種、ならびに出生児の免疫関連疾患(喘息、感染症など)、非免疫関連疾患(腫瘍、感覚障害など)、および非特異的事象(緊急または入院医療の利用など)について、2016年3月31日まで追跡調査を行いました。

喘息、感染症、腫瘍、感覚障害などいずれも有意な関連なし

 解析対象の出生児は、2万8,255例(女児49%、妊娠37週以上の出生児92%)でありました。このうち、1万227例(36.2%)が、季節性インフルエンザワクチンの接種を妊娠中に受けた母親から生まれました。

 追跡期間平均3.6年間において、母親のインフルエンザワクチン接種は小児喘息、腫瘍および感覚障害と有意な関連はないことが認められました。母親の接種ありと接種なしにおける出生児1,000人年当たりの発生率は、小児喘息が3.0 vs.2.5、腫瘍が0.32 vs.0.26、感覚障害が0.80 vs.0.97であったようです。

 また、母親のインフルエンザワクチン接種は、小児期早期の感染症や、緊急または入院医療の利用とも有意な関連は認められなかったようです。

原著