院長ブログ

健康講座335 がん患者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの抗体産生は?

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科CLでございます。

 米ファイザー社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン(商品名コミナティ)を2回接種した固形がん患者では、1回目の接種から6カ月後も、がんでない人と同等の抗体価を維持しているとする研究結果が報告されました。

 固形がん患者154人(年齢中央値66歳、男性55%)と、がんではない対照者135人(年齢中央値63歳、男性44%)を対象に、ファイザー社製ワクチンの1回目接種から6カ月(187日)後に血清検査を行い、血清学的状態やワクチンの安全性、新型コロナウイルスへの感染率について調べました。がん患者のがん種として多いのは、消化器がん(36%)、肺がん(23%)、乳がん(17%)、泌尿生殖器がん(11%)で、全体の84%に転移が認められ、ワクチン接種期間中も抗がん剤や生物学的製剤などによる積極的な治療を受けていたようです。

 その結果、1回目接種から6カ月後に新型コロナウイルスに対する抗体が陽性であった人の割合は、がん患者で79%(122人)、がんではない対照者で84%(114人)と、ほぼ同等であることが明らかになったのです。抗体価は、両群とも6カ月後までに大幅に低下したものの、閾値以上を保っていて、両群間に有意差は認められなかったです。新型コロナウイルス感染者は、がん患者群でのみ1人報告されたようです。

 この研究から、免疫原性(ワクチンが免疫反応を誘導する能力)、感染率、ワクチン接種の安全性などを含めたいずれのアウトカムについても、固形がん患者は一般集団とほぼ同じ傾向を示すことが明らかになったのです。

 原著