Michaelsson K, et al. BMJ. 2014; 349: g6015.
院長ブログ
2021.11.03 | お知らせ
健康講座370 牛乳飲みすぎ注意!?
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
牛乳摂取量が多い人ほど死亡率、骨折率が高く、酸化ストレスや炎症性バイオマーカーの値が高いことが、スウェーデン・ウプサラ大学による全国追跡コホート研究ので明らかにされたようでございます。骨粗鬆症予防のために牛乳を飲むことが推奨されているのですが、これまでの検討では、牛乳を多く飲むことの骨折・死亡予防への影響について相反する結果が報告されていたようです。
牛乳摂取量と死亡または骨折までの期間を大規模コホート研究で評価
本研究は、スウェーデン中部の住民を対象に行われた研究の参加者を対象としました。被験者は、女性が1987~1990年に6万1,433例(39~74歳)、男性は1997年に行われたC4万5,339例(45~79歳)でありました。女性被験者は、1997年に行われたアップデート時の2回目の食物摂取頻度アンケートにも3万8,984例が回答していたようです。主要評価項目は、多変量生存モデルを用いて評価した、牛乳摂取量と死亡または骨折までの期間との関連であった。
牛乳1日3杯以上飲む人は1杯未満の人と比べて全死因死亡HRは1.93
ベースライン時の牛乳摂取量は、女性が1日平均240g、男性が290gだった。女性について、平均追跡期間20.1年で、死亡1万5,541例、骨折1万7,252例(うち大腿骨頚部骨折が4,259例)が、男性は平均追跡期間11.2年で、死亡1万112例、骨折5,066例(うち大腿骨頚部骨折は1,166例)が報告されました。
女性において、牛乳摂取量が多い人ほど、全死因死亡、心血管疾患、がんの発生が高率である関連がみられたようです。
牛乳を1日3杯以上(平均680g)飲む女性の同1杯未満(平均60g)と比べた全死因死亡HRは1.93だったのです。心血管死亡も同程度で、がん死亡は若干減弱した。骨折についても、同様に牛乳1日3杯以上牛乳を飲む女性ほど発生リスクは高かったとのことです。
男性についても同様の関連がみられたが、女性ほどリスクは大きくはなく、牛乳1日3杯以上(平均830g)飲む男性の牛乳1日1杯未満(平均50g)と比べた全死因死亡HRは、1.10だったのです。
なお、チーズやヨーグルトなどの発酵乳製品の摂取量とではこれらの関連は観察されず、毎日高摂取している女性は低摂取の女性と比べて死亡率や骨折率が低いことが観察されたということです。男性ではそのリスク低下はわずかか、ほとんどみられなかったようです。
原著