院長ブログ
2022.01.12 | お知らせ
健康講座434 電子タバコと勃起不全(ED)
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
男性では、電子タバコの使用により勃起不全(ED)リスクが倍増する可能性のあることが新たな研究で示されたのでございます。EDとの関連が認められている心疾患やその他の疾患の既往がなくても、電子タバコを使用する人のEDリスクは、使用しない人の2倍以上であったということでございます。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医学部による研究でございます。
今回の研究では、EDに関する質問に回答した20歳以上の男性1万3,711人を対象に、ニコチン供給電子タバコ(ENDS)とEDとの関連が検討されました。解析は、これらの対象者全て(全サンプル)を含めて行うとともに、対象を心血管疾患(CVD)の診断歴を持たない20〜65歳の男性1万1,207人(限定サンプル)に絞った上でも行ったようです。対象者の65.9%は白人で、85.0%はCVDの診断歴を持っていなかったようです。53.4%は過去に紙巻きタバコの喫煙習慣があり、21.5%は現在も喫煙習慣を持っていました。ENDS使用者の割合は、全サンプルで4.8%、限定サンプルで5.6%であり、そのうち全サンプルでは2.1%、限定サンプルでは2.5%がENDSを毎日使用していたようです。全サンプルの20.7%、限定サンプルの10.2%がEDに罹患していると回答しました。解析の結果、毎日ENDSを使用している人でのEDリスクは、ENDSの使用経験がない人に比べて、いずれのサンプルでも2倍以上であったようです(調整オッズ比は全サンプルで2.24、限定サンプルで2.41)。
タバコやニコチン製品にリスクがないものはないです。従来のタバコ製品に含まれる高濃度のニコチンに常に曝されていると、勃起機能に障害が出ることを示すエビデンスは多数あるのです。一部の電子タバコはニコチン濃度が極めて高いらしく、本研究で行われた種々の検討結果からも、実際に裏付けられたようです。
このようなEDの原因が、電子タバコに含まれるニコチンにあるのか、電子タバコ用リキッドに含まれる別の成分にあるのかについては、まだ何も分かっていないようです。
電子タバコが従来の紙巻きタバコの改良版と呼べる、より安全な商品なのかどうかについては明確になっていないのです。データからは、電子タバコが喘息の悪化、重篤な呼吸器疾患、心血管への害、年少者のタバコ使用などの原因となる可能性も示されているのです。
参考にしてください。