院長ブログ

健康講座433 重度の精神疾患患者はCOVID-19による感染や死亡リスク

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 統合失調症、双極性障害、うつ病を含む重度の精神疾患を有する人は、新たなエビデンスでは、重度の精神疾患患者はCOVID-19による感染や死亡リスクが高いことが示唆されているようです。英国・マンチェスター大学は、UKバイオバンクの研究データを用いて、重度の精神疾患患者におけるCOVID-19関連の感染、入院、死亡率を調査したのです。

 UKバイオバンクから抽出した44万7,296例(統合失調症:1,925例、双極性障害:1,483例、うつ病:4万1,448例、重度の精神疾患でない対照群:40万2,440例)を対象とし、医療および死亡に関する記録を、多変量ロジスティック回帰分析を用いて、診断とCOVID-19関連アウトカムとの違いを調査したようです。また、社会人口統計学的要因および併存疾患で調整した場合においても検討を行ったようです。

 主な結果は以下のとおりでございます。

・調整前の分析では、重度の精神疾患患者は、対照群と比較しCOVID-19関連の死亡リスクのオッズ比が高かったようです。また、重度の精神疾患患者は、COVID-19関連の感染、入院リスクも高かったのです。
【死亡リスクのオッズ比(OR)】
 ●統合失調症:4.84(95%信頼区間[CI]:3.00~7.34)
 ●双極性障害:3.76(95%CI:2.00~6.35)
 ●うつ病:1.99(95%CI:1.69~2.33)
【感染リスクのOR】
 ●統合失調症:1.61(95%CI:1.32~1.96)
 ●双極性障害:1.48(95%CI:1.16~1.85)
 ●うつ病:1.47(95%CI:1.40~1.54)
【入院リスクのOR】
 ●統合失調症:3.47(95%CI:2.47~4.72)
 ●双極性障害:3.31(95%CI:2.22~4.73)
 ●うつ病:2.08(95%CI:1.89~2.29)

 統合失調症、双極性障害、うつ病などの重度の精神疾患患者では、COVID-19関連の感染、入院、死亡リスクが上昇することが示唆されたのでございます。重度の精神疾患患者に対しては、優先的にワクチン接種や予防措置を講じる必要があるかもしれません。


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