院長ブログ
2023.05.26 | お知らせ
健康講座664 ”甘さの代償:高カロリー飲料がもたらす健康リスクとその対策”
みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
甘い飲み物が好きですか?ジュースやコーラ、加糖コーヒーなど、甘いものは美味しいですよね。でも、これらの飲み物は高カロリーで、毎日飲むと健康に悪影響を及ぼす可能性があるという研究結果が出ています。
アメリカのカリフォルニア州で行われた研究によると、果糖やブドウ糖、ショ糖などの単糖類が含まれた甘い飲み物を毎日飲むと、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まることが分かりました。一方で、低カロリーの甘味料を使った飲み物は、肥満や糖尿病のリスクを上げないという研究結果もあります。
高カロリー飲料と健康リスク
カリフォルニア州の研究では、平均年齢52歳の女性教員10万6,000人以上が参加しました。参加者は研究開始時に心臓病、脳卒中、2型糖尿病を発症していませんでした。この研究は1995年に始まり、現在も続いています。
研究結果によると、糖類が含まれた高カロリー飲料を毎日1杯以上飲む人は、飲まない人に比べて、血管形成などの血管再建手術が必要になるリスクが26%上昇し、脳卒中のリスクも21%上昇しました。特に果糖が加えられた果汁飲料を飲む人はリスクが高く、毎日1杯以上飲んでいる人は心血管疾患リスクが42%高かったです。
高カロリー飲料の影響
高カロリー飲料を多く飲む人は、肥満が多く、喫煙率が高く、健康的な食品を食べる頻度が低く、比較的若い傾向がありました。これらの飲み物に含まれる単糖類は、肥満につながり、心血管疾患のリスクを高めると考えられます。また、血糖値が上昇することで血管に酸化ストレスや炎症がもたらされ、インスリン抵抗性、高コレステロール、高中性脂肪になりやすくなると言われています。これらの要因が一緒になると、アテローム性動脈硬化症の進行を促し、心血管疾患のリスクを上げる可能性があります。
アメリカ心臓学会(AHA)は、単糖類の1日の摂取量を、女性は100kcal分以下、男性は150kcal以下に抑えることを推奨しています。例えば、コーラ1缶(354mL)には約130kcal、砂糖小さじ8杯分に相当する34gの糖類が含まれています。これは、AHAの推奨する1日の摂取量を超えてしまいます。
だからと言って、全く甘い飲み物を飲まないというのは難しいかもしれませんね。でも、毎日飲むのではなく、たまに飲む程度に抑えることが大切です。
低カロリー甘味料の利点
一方で、糖類を低カロリー甘味料に置き換えるとどうなるでしょうか?アメリカのロサンゼルス小児・子供病院の研究チームは、低カロリー甘味料を利用することで、脂肪肝の発症リスクが低下するという研究結果を発表しました。
この研究では、肥満マウスを使って実験を行いました。果糖とショ糖を含む飲料水を与えたマウスと、低カロリー甘味料を与えたマウスを比較しました。その結果、低カロリー甘味料は体重増加やエネルギーバランスに影響せず、空腹時血糖値、インスリン感受性、小胞体ストレス、膵島の細胞量などを改善し、脂肪肝や肝臓の線維化を防ぐことが分かりました。
まとめ
甘い飲み物は美味しいですが、毎日飲むと健康に悪影響を及ぼす可能性があるという研究結果が出ています。特に心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。しかし、全く飲まないというのは難しいかもしれません。そこで、低カロリーの甘味料を使った飲み物を選ぶという選択肢もあります。これらの飲み物は、肥満や糖尿病のリスクを上げないという研究結果もあります。
しかし、どんな飲み物でも適量を守ることが大切です。甘い飲み物を飲むときは、どれだけのカロリーと糖類が含まれているかを確認しましょう。そして、毎日飲むのではなく、たまに飲む程度に抑えることが大切です。
また、健康的な食生活を心掛けることも大切です。高カロリー飲料を多く飲む人は、健康的な食品を食べる頻度が低い傾向がありました。バランスの良い食事を心掛け、適度な運動をすることで、健康を維持することができます。
健康に良い飲み物の選び方や、飲み物の摂取量についての知識を身につけることで、より健康的な生活を送ることができます。これからも、自分の体と健康を大切にしてくださいね。