院長ブログ
2023.05.22 | お知らせ
健康講座657 「脂肪肝と糖質:食事の誤解と科学的真実」
みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
脂肪肝と診断されたとき、多くの人が最初に思いつく対策は「脂肪を減らす」ことでしょう。揚げ物を避け、脂身のある肉を選ばず、ドレッシングを使わないようにするなど、脂肪を避ける行動をとる人は多いです。しかし、これは一部の誤解に基づいています。実際には、脂肪肝の改善には、脂肪だけでなく糖質の摂取にも注意が必要です。
脂肪を減らし、糖質中心の食事にすると、筋肉量が低下し、太りやすい体になる可能性があります。これは、糖質が体内で糖分に変換され、使用されない糖分が脂肪として蓄積されるためです。また、糖質はエネルギー源としてすぐに使われるため、食後すぐに空腹感を感じやすくなります。これが過食につながり、結果的に体重増加を招く可能性があります。
では、脂肪肝の人が先に減らすべきは何でしょうか。それは「精製糖質」です。精製糖質とは、砂糖や白米、小麦などの食品に含まれる糖質のことを指します。これらの食品は、糖質が高く、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が少ないため、体にとっては空カロリーとなります。
精製糖質を過剰に摂取すると、血糖値が急激に上昇し、インスリンの分泌が促されます。インスリンは、血糖値を下げるために体内の糖分を細胞に運びますが、過剰な糖分は肝臓で脂肪として蓄積されます。これが脂肪肝の原因となります。
また、精製糖質は食物繊維が少ないため、満腹感を得にくく、過食につながる可能性があります。これも体重増加や脂肪肝のリスクを高める要因となります。
では、どのように食事を改善すれば良いのでしょうか。以下に、科学的根拠に基づいた提案をいくつかします。
精製糖質の摂取を減らす:白米や白パン、砂糖を多く含む飲食品を避け、全粒穀物や野菜、果物などの自然な糖質を含む食品を選びましょう。
適度な脂質の摂取:全ての脂質を避けるのではなく、健康的な脂質を適度に摂取することが重要です。オメガ-3脂肪酸を多く含む魚や、モノ不飽和脂肪酸を含むアボカドやオリーブオイルなどを選びましょう。
高タンパク質食品の摂取:タンパク質は筋肉の維持に必要で、満腹感を得やすくする効果もあります。肉や魚、豆腐などのタンパク質源を選びましょう。
食物繊維の摂取を増やす:食物繊維は満腹感を得やすくし、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果があります。野菜や果物、全粒穀物などを積極的に摂取しましょう。
これらの提案は、脂肪肝の改善だけでなく、全体的な健康維持にも役立ちます。食事の選択は、一日のエネルギー摂取や栄養バランスに大きな影響を与えます。そのため、自分の体にとって最適な食事を選ぶことが重要です。
脂肪肝の改善には、食事だけでなく、適度な運動や十分な睡眠、ストレス管理なども重要です。健康的なライフスタイルを維持することで、脂肪肝のリスクを減らし、全体的な健康を向上させることができます。
この記事が、脂肪肝と食事についての理解を深め、健康的な食生活を送るための一助となれば幸いです。脂肪肝は食生活の改善だけでなく、全体的なライフスタイルの見直しによって改善する可能性があります。そのため、自分の体にとって最適な選択をすることが重要です。
最後に、脂肪肝の治療や食事については、医療専門家と相談することを強く推奨します。この記事で紹介した情報は、一般的なアドバイスであり、個々の健康状態やニーズによっては適用できない場合があります。自分の健康に最適な食事やライフスタイルを追求するためには、医療専門家の助けが必要です。
甘いものや脂肪を避けるだけが健康的な食生活ではありません。バランスの良い食事と適度な運動、十分な休息が健康を維持するための鍵です。この記事が、その一助となれば幸いです。