院長ブログ

健康講座653 ”次世代インスリン治療:週1回のicodec vs. 日1回のglargine U100、効果と安全性の比較”

 みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。

この研究は、2型糖尿病患者における新型の週1回投与型インスリン、インスリンicodecと、既存の日1回投与型インスリン、インスリンglargine U100の有効性と安全性を比較することを目的としたものです。この比較は、26週間にわたるフェーズ3aの臨床試験として行われました。

試験は9カ国の80のサイト(外来クリニックおよび病院の部門)で行われ、2型糖尿病(グリコヘモグロビン[HbA1c] 7.0-10.0%)の成人患者がランダムに割り当てられました。これらの患者は、週1回のicodecまたは日1回のglargine U100を、1日2-4回のボーラスインスリンaspart注射と組み合わせて投与されました。この試験の主要な結果は、基準から26週間までのHbA1cの変化でした。

試験の結果、icodec群(基準8.29%)のHbA1cの推定平均変化は-1.16パーセントポイント、glargine U100群(基準8.31%)の推定平均変化は-1.18パーセントポイントで、icodecとglargine U100の間で非劣性が示されました。これは、icodecがglargine U100と同等の血糖コントロール効果を持つことを示しています。

また、全体として、icodec群の参加者291人中171人(59%)、glargine U100群の参加者291人中167人(57%)が有害事象を経験しました。これは、両群ともに治療による有害事象の発生率がほぼ同等であることを示しています。

この研究の結果から、基礎-ボーラス療法を受けている長期間の2型糖尿病患者において、週1回のicodecは、血糖コントロールの改善において、日1回のglargine U100と同等の効果を示しました。さらに、icodecの投与は、基礎インスリンの注射回数を減らし、ボーラスインスリンの投与量を減らし、低血糖発症率を増加させることなく、同等の効果を示しました。これは、週1回の投与であるicodecが、日常生活における治療負担を軽減し、患者の治療への遵守を向上させる可能性を示唆しています。

この試験の主な強みは、マスクされた連続血糖モニタリングの使用、高い試験完了率、そして大規模で多様性のある多国籍の人口の含有です。これにより、試験結果の一般性と信頼性が向上しています。一方、制限事項としては、比較的短い試験期間とオープンラベル設計が挙げられます。これは、試験の結果が長期的な効果を反映していない可能性があり、また、試験参加者や研究者がどの治療を受けているかを知っていたため、結果にバイアスが生じる可能性があることを意味します。

Bariatric–metabolic surgery versus lifestyle intervention plus best medical care in non-alcoholic steatohepatitis (BRAVES): a multicentre, open-label, randomised trial The Lancet, 2023