院長ブログ
2023.05.18 | お知らせ
健康講座648 ”新型コロナワクチン接種、時間が経つとどう変わる?驚きの研究結果とは”
みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
新型コロナウイルスに対するワクチン接種の効果が、どれぐらいの期間でどれぐらい低下するのか、あなたも一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか?そんな中、イタリアのFondazione Bruno Kesslerの研究チームがこの問いにアプローチしました。
この研究でチームが見たのは、ウイルスのデルタ株とオミクロン株に対するワクチンの効果の時間経過による変化。具体的には、ワクチンがどのくらいの時間で半分になるのか、または効果がどれくらい減衰するのかを調査したのです。そして、驚くべき結果が出ました。なんと、初回接種とブースター接種後の時間経過とともに、ワクチンの効果が急激に低下することが示されたのです。
さて、この研究はどのように行われたのでしょうか?研究チームは、論文検索データベースを使って、新型コロナウイルス感染や症候性疾患に対するワクチンの効果(VE)の推定値を報告した論文から情報を収集し、厳密なレビューと解析を行いました。主に見られたワクチンは、おなじみのファイザーやモデルナのものでした。
そして、これらのデータを元に得られた結果がこちらです。
- 探し出した論文は合計799件。そのうち、査読が行われたレビューが149件、プレプリントが35件、最終的に分析に使われたのは40件でした。
- ワクチン初回接種後6ヵ月でのオミクロン株への防御効果は、なんと20%未満にまで落ち込んだのです。
- ブースター接種で一時的に効果が戻るものの、9ヵ月後のオミクロン株に対する効果は、感染症および症候性疾患に対して30%未満でした。
- デルタ株では効果が半分になるまでに約316日、オミクロン株
では約87日と、驚くべき早さで効果が半減することが明らかになりました。 さらに、若者(18歳未満)と高齢者(60歳以上)でワクチンの効果を比較したところ、予想外にも大きな差は見られませんでした。この部分、何となく「年齢によって違うのかな?」と思っていましたが、それは大きな誤解だったようです。
この研究結果が示すのは、新型コロナウイルスのワクチン効果が時間とともにどのように変化するのか、という貴重な情報です。そして、それが将来のワクチン接種プログラムの計画に役立つ可能性を秘めています。つまり、次の接種タイミングや接種用量を見直す必要があるかもしれないということですね。
これらの情報は、全世界が待ち望んでいた新型コロナウイルスのワクチン接種についての重要な情報であり、私たちの未来に大きな影響を及ぼす可能性があります。この研究をきっかけに、さらに効果的なワクチン接種プログラムが立案され、私たち全員が安心して日常生活を送ることができる日が近づくことを心から願っています。
原著論文はこちら Menegale F, et al. JAMA Netw Open. 2023;6:e2310650.