院長ブログ

健康講座641  ”眼瞼ミオキニア:意図しないまぶたの動きの驚くべき理由”

 みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。

眼瞼ミオキニアは、まぶたの筋肉の異常な運動によって引き起こされる症状で、主に無意識的なまぶたの痙攣として現れます。この病状は原因不明であることが多いですが、ストレス、疲労、視覚的な過度な刺激、カフェインの過剰摂取などが関与していると考えられています。

眼瞼ミオキニアは、一般的には自己限定的な状態で、数日から数週間で自然に解消されます。しかし、一部の人々では症状が持続し、より広範で重度の痙攣(ベニグンエッセンシャルブレフェロスパズム)へと進行することがあります。

眼瞼ミオキニアの神経学的なメカニズムは完全には理解されていませんが、中枢神経系の異常な興奮性が関与していると考えられています。特に、脳の基底核と呼ばれる部分(運動制御に関与する領域)の異常が関与している可能性があります。また、眼瞼ミオキニアはパーキンソン病やトゥレット症候群などの他の神経学的疾患と関連していることがあるため、これらの疾患の早期発見の一環として理解されることもあります。

治療には、まず原因となる可能性があるライフスタイルの要素(ストレス、疲労、カフェインの摂取)を管理することから始めます。これが効果的でない場合、または症状が重度である場合、ボトックス(ボツリヌス毒素)注射が一般的な治療選択肢となります。ボツリヌス毒素は、筋肉の収縮を防ぐことで、まぶたの不随意運動を抑制します。しかし、この治療の効果は一時的で、通常は数ヶ月で再注射が必要となります。

重度の眼瞼ミオキニアやベニグンエッセンシャルブレフェロスパズムの場合、薬物療法(抗コリン薬、抗パーキンソン病薬、または筋弛緩薬など)や神経切除手術といった更なる治療が必要となることもあります。

薬物療法は症状を抑える助けになりますが、患者さんによっては副作用が出ることもあります。そのため、医師と患者間で利益とリスクの評価が必要になるでしょう。

神経切除手術は、まぶたの筋肉を制御する神経を除去し、筋肉の収縮を防ぐことで症状を軽減するものです。これは比較的まれな治療法で、他の治療法が効果を示さない場合や、症状が日常生活に大きな影響を及ぼす場合に考慮されます。

眼瞼ミオキニアの理解は進行中であり、新たな治療法の開発や、症状の原因となる神経学的なメカニズムの理解が進むことで、より効果的な対策が可能となることを期待しています。

それにもかかわらず、この病状は個々の患者さんの生活に深刻な影響を及ぼす可能性があります。したがって、症状が現れた場合、または症状が持続する場合には、適切な医療専門家に相談することが重要です。

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