院長ブログ

健康講座692 ”脂肪肝は肥満だけの問題ではない!スリムでも陥る危険とその対策”

 みなさん、こんにちは。小川糖尿病内科クリニックです。今日は、肥満でないにも関わらず脂肪肝や脂肪肝炎になる方々について、科学的な根拠を基に詳しくお話ししようと思います。

まず、脂肪肝とは何か、基本的な説明から始めましょう。脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰に蓄積される状態を指します。これは、肝臓が脂肪を正常に処理できなくなると発生します。脂肪肝炎は、脂肪肝が進行し、肝臓に炎症が起こる状態を指します。これは、肝臓の機能を損ない、肝硬変や肝臓がんにつながる可能性があります。

一般的に、脂肪肝は肥満や高脂血症、糖尿病などの代謝異常と関連しています。しかし、実際には、脂肪肝患者の中には、男性の20%、女性の40%が肥満でないことが報告されています(Younossi ZM, et al. Hepatology. 2016)。これは「非肥満性脂肪肝症(NAFLD)」と呼ばれ、特にアジア人に多いとされています。

非肥満性脂肪肝症の患者さんの中には、インスリン抵抗性が見られることが多いです。インスリン抵抗性とは、体内のインスリンの働きが弱まり、血糖値を正常に保つことが難しくなる状態を指します。これは、糖尿病の一歩手前の状態とも言えます(Targher G, et al. Diabetes Care. 2010)。

このように、肥満でないにも関わらず脂肪肝や脂肪肝炎になる方々は、糖尿病のリスクが高いと考えられます。そのため、定期的な血糖値のチェックや、食事や運動による生活習慣の改善が重要となります。

また、脂肪肝や脂肪肝炎の治療には、生活習慣の改善が不可欠です。特に、飲酒量の制限、健康的な食事、適度な運動が重要とされています。これらの生活習慣の改善は、肝臓の脂肪蓄積を減らし、インスリン抵抗性を改善することが期待できます。

さらに、非肥満性脂肪肝症の患者さんは、糖尿病のリスクが高いため、定期的な血糖値のチェックが必要です。血糖値が高い場合は、医師の指導のもとで食事療法や運動療法、必要に応じて薬物療法を行うことが推奨されます。

最後に、脂肪肝や脂肪肝炎は、自覚症状が少ないため、自分が患っていることに気づかないことが多いです。しかし、放置すると肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があるため、定期的な健康診断で肝機能をチェックすることが大切です。

以上、肥満でないにも関わらず脂肪肝や脂肪肝炎になる方々について、科学的な根拠を基に詳しくお話ししました。この情報が、皆さんの健康管理に役立つことを願っています。