院長ブログ
2023.07.06 | お知らせ
健康講座713 ”中性脂肪をターゲットにした戦略:あなたの健康を守るためのスマートな選択肢”
こんにちは、皆様。小川糖尿病内科クリニック院長の小川です。
中性脂肪(トリグリセライド)は、食事から摂取した脂肪と糖質を体内でエネルギーとして利用した後に残ったものが、肝臓でトリグリセライドとして合成され、血液中に分泌されます。その後、トリグリセライドは血液中を運ばれ、体全体の細胞にエネルギー供給のために配分されます。
以下に、中性脂肪が増える理由を科学的に説明します。
食事からの脂肪と糖質の過剰摂取:体が必要とするエネルギーよりも多くの脂肪や糖質を食事から摂取すると、それらは肝臓でトリグリセライドとして合成され、血液中に分泌されます。摂取量がエネルギー消費量を上回ると、トリグリセライドは増えます。
運動不足:適度な運動は、体のエネルギー消費を増やし、脂肪の燃焼を助けます。運動不足はエネルギー消費を低下させ、結果としてトリグリセライドのレベルを高めることにつながります。
アルコール摂取:アルコールは肝臓でのトリグリセライドの産生を増加させることが知られています。そのため、過度のアルコール摂取は血中のトリグリセライドレベルを増加させます。
肥満:肥満はインスリン抵抗性を引き起こすことがよくあり、これは肝臓がトリグリセライドを過剰に生成し、筋肉や脂肪細胞がこれをうまく取り込めない状態を意味します。その結果、トリグリセライドが血流に蓄積します。
糖尿病:インスリンは、糖質と脂肪の代謝を調節します。インスリンの働きが低下すると(糖尿病によく見られます)、糖質と脂肪の代謝が乱れ、トリグリセライドが増加する可能性があります。
特定の薬物:ステロイドやエストロゲン(経口避妊薬など)などの特定の薬物は、トリグリセライドのレベルを上げる可能性があります。
これらの要因は、中性脂肪が増える理由を説明する主な科学的根拠です。これらを理解することで、適切な生活習慣の改善や医療的介入を通じて、中性脂肪のレベルをコントロールすることが可能になります。
食事が中性脂肪(トリグリセライド)の上昇に大きく関わることは科学的に確立されています。以下に中性脂肪を上昇させる可能性がある食品や飲料をいくつか示します:
高脂肪食品:特に飽和脂肪酸が多い食品は、体内での中性脂肪の生成を促進します。これには、バター、ラード、赤肉、全脂乳製品(クリーム、チーズなど)が含まれます。
甘い飲み物:ソフトドリンクやフルーツジュースなどの糖分が多い飲み物は、血糖値の急激な上昇を引き起こし、それが中性脂肪の生成を促進します。
砂糖や精製炭水化物:白砂糖、白パン、白米、パスタ、菓子パン、ケーキ、クッキー、チョコレートなどの高糖質や精製炭水化物は血糖値とインスリン値を上昇させ、その結果、中性脂肪の生成が増加します。
アルコール:特にビールや甘いリキュールは中性脂肪の生成を促進します。アルコールは肝臓でのトリグリセライド生成を刺激し、それが血中の中性脂肪濃度を増加させます。
高フラクトースコーンシロップ:この添加物は多くの加工食品やソフトドリンクに含まれており、大量摂取は中性脂肪の上昇を引き起こします。
これらの食品を大量に摂取すると中性脂肪が上昇する可能性がありますが、個々の体質や生活習慣も大きく影響します。したがって、一般的な食事のガイドラインに加えて、個々の健康状態や目標に合わせた専門的な栄養指導を受けることをお勧めします。