院長ブログ
2026.07.28 | お知らせ
健康講座901 「減塩+カリウムアップ」で血圧を守る食べ方とは 〜魚介スープの意外な健康効果と、今日からできる減塩習慣〜
皆さんこんにちは。
今回は、「高血圧対策としての減塩の重要性」と「ラーメンと食塩の関係」について、最新の研究結果をもとに、わかりやすく解説していきます。
ラーメンは日本人にとってとても身近で人気のある食べ物ですが、食塩が多く含まれていることをご存じですか?
「ラーメン=血圧に悪い」と思っている方も多いかもしれませんが、実は“魚介スープのラーメン”には、血圧を上げにくい可能性があるという研究結果も出ています。
今回はその真相について、食塩とカリウムの関係も含めて、やさしく解説します。
高血圧と塩分の関係 〜塩をとりすぎるとどうなる?〜
まず、「高血圧(こうけつあつ)」とは何かを確認しておきましょう。
高血圧とは、血管の中を流れる血液の圧力が常に高い状態のことです。この状態が長く続くと、心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)などの大きな病気のリスクが高くなります。
そして、この高血圧の大きな原因の1つが 「塩分(ナトリウム)」のとりすぎ です。
日本人は味噌、醤油、漬物、そしてラーメンなどの麺類などから、塩分を多く摂る傾向があります。
▽ どうして塩分をとりすぎると血圧が上がるの?
塩分(ナトリウム)をとりすぎると、体はそれを薄めるために水分を溜め込もうとします。
その結果、血液の量が増えて血管にかかる圧力(=血圧)が上がるのです。
カリウムの役割 〜ナトリウムを外に出す助け役〜
では、塩分をとったら終わりかというと、そうではありません。
体にはナトリウムの量を調節する仕組みがあります。
そのときに重要な働きをするのが「カリウム」という栄養素です。
▽ カリウムのすごい力
カリウムは、ナトリウム(塩分)を体の外に出すのを助ける働きがあります。
つまり、カリウムをしっかりとると、塩分を体から排出できて、血圧が下がりやすくなるのです。
このように、**「ナトリウムを減らす」「カリウムを増やす」**という2つの対策が、高血圧の予防にはとても大切です。
ラーメンと塩分 〜なぜラーメンが問題になるの?〜
ここからはラーメンの話に移ります。
ラーメンには、「スープにたっぷりの塩分が含まれている」ことが多く、1杯で1日の塩分摂取目安(6g未満)を超えてしまうことも珍しくありません。
▽ 人気ラーメン店のラーメンを調べてみたら…
京都府立大学の研究チームは、京都市内の人気ラーメン店24店舗のラーメンを調査しました。
食べログで高評価を得ている店舗から、合計52食分のラーメン(スープ・具材を含む)を集めて、以下の成分を測定しました。
食塩の量(ナトリウム)
カリウムの量
そのバランス(ナトリウム/カリウム比=ナトカリ比)
▽ ナトカリ比とは?
ナトカリ比とは、「ナトリウムの量 ÷ カリウムの量」で表される数値です。
この値が高いほど「塩分が多く、カリウムが少ない=血圧に悪い食事」と判断されます。
逆にナトカリ比が低ければ、「塩分が少なく、カリウムが多い=血圧にやさしい食事」です。
魚介スープのラーメンは、実は“血圧にやさしい”かも?
研究の結果、ラーメン全体では1杯あたりの平均食塩量が 6.7g で、カリウム量は 448mg、ナトカリ比は 10.7 でした。
この数値は、高血圧の予防には「やや不利」といえます。
しかし、スープの出汁(だし)の種類によってナトカリ比に差があることがわかりました。
| 出汁の種類 | ナトカリ比 | 塩分(ナトリウム) | カリウム |
|---|---|---|---|
| 魚介系(煮干し・鰹節など) | 最も低い(血圧にやさしい) | 少ない | 多い |
| 鶏ガラ系 | 中間 | やや多い | やや少ない |
| 豚骨系 | 最も高い(血圧に悪い) | 多い | 少ない |
▽ なぜ魚介系スープが良いの?
魚介からとったスープには、カリウムがたっぷり含まれている
カリウムには「塩味を強く感じさせる効果」があるため、少ない塩でもおいしく感じられる
→ その結果、使う食塩の量を減らせるのです。
ラーメンを食べたい人へのアドバイス
「血圧が高いけど、どうしてもラーメンが食べたい!」という方に向けて、以下の工夫を紹介します。
● スープを全部飲まない
ラーメンの塩分の大半はスープに含まれています。
スープを残すだけで、塩分摂取を半分以下に抑えることができます。
● 野菜を一緒に食べる
野菜にはカリウムが豊富です。
サイドメニューでサラダやゆで野菜を加えたり、トッピングに野菜を選ぶことで、ナトカリ比が改善されます。
● 魚介スープのラーメンを選ぶ
どうしてもラーメンを食べたいときは、魚介系スープを選ぶと、比較的カリウムが多く、血圧への悪影響を和らげやすいです。
どんな食事が塩分が多くなりやすいの?
東京大学の研究チームも、別の角度から「食塩が多くなりやすい食事」について調べました。
2,757人を対象に6万食以上のデータを解析した結果、以下のような傾向が明らかになりました。
塩分が多くなりやすい食事パターン
麺類(ラーメン、うどん、そばなど)を主食とする食事
汁物(味噌汁、スープなど)がある食事
漬物をよく食べる食事
加工肉・加工魚(ハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわなど)を含む食事
外食(特にレストランやラーメン店)
アルコールを伴う食事
秋・冬など寒い季節
塩分が少ない傾向にある食事
果物が含まれている
減塩のためにできること
食塩を減らすために、日常生活でできる工夫はたくさんあります。
▽ 控えるべき食品・調味料
汁物(味噌汁、スープ)
漬物
加工肉・加工魚(ハム、ソーセージ、かまぼこなど)
塩・醤油・味噌などの調味料をたくさん使うこと
▽ 積極的にとりたいもの
野菜(特にカリウムの多いもの:ほうれん草、小松菜、にら、キャベツなど)
果物(バナナ、キウイ、みかんなど)
海藻(わかめ、昆布など)
いも類(じゃがいも、さつまいもなど)
減塩調味料、酢や柑橘類の果汁
ハーブやスパイス(塩を使わずに風味を出す)
最後に:減塩+カリウムアップで、血圧と上手につきあう
私たちの食生活は、無意識のうちに塩分をとりすぎてしまいやすい傾向があります。
特にラーメンや外食が多い人、寒い季節に汁物や漬物を好む人は、知らず知らずのうちに血圧に負担をかけているかもしれません。
でも大丈夫。
「ナトリウムを減らす+カリウムを増やす」
この2つを意識するだけで、血圧のリスクを大きく減らすことができます。
そして、ラーメンも“全てが悪”ではありません。
魚介スープを選んだり、スープを残したり、野菜と一緒に楽しむなどの工夫をすることで、塩分を減らしながらおいしく食べることもできます。
参考文献・出典
京都府立大学 農学食科学部 栄養科学科 奥田奈賀子教授
「Na and K Content and Na/K Ratio of Ramen Dishes Served in Ramen Restaurants in Kyoto City, Japan」Dietetics誌 2025年6月3日東京大学大学院医学系研究科 社会予防疫学分野
「Ecological momentary assessment of meal context and food types contributing to salt intake at meals」
International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity誌 2025年6月28日日本高血圧学会 減塩・栄養委員会
日本高血圧学会 尿ナトリウム/カリウム比ワーキンググループ
