院長ブログ

健康講座268 食物アレルギー アナフィラキシーと致死率の変遷

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 英国では、1998~2018年の20年間に、食物によって誘発されたアナフィラキシーによる入院が3倍以上に増加したが、死亡率は低下しており、就学児童で最も頻度の高い致死的なアナフィラキシーの単一の誘因は牛乳であることが示されたようです。アナフィラキシーは全身性の重篤な過敏反応で、通常、急速に発症し、死に至る可能性もあるのです。食物アナフィラキシーによる入院は世界的に増加しておりましたが、致死的アナフィラキシーの発生率はこの間安定していたということです。

英国の20年間の経時的な傾向を調査

 研究グループは、英国における過去20年間の食物アナフィラキシーによる入院および死亡の経時的な傾向を明らかにする目的で、全国的な調査を行った。

 解析には、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドにおけるアナフィラキシーによる入院と死亡に関連するデータと、アドレナリン(エピネフリン)自己注射器の処方データを用いた。

アドレナリン自己注射器の処方率は336%上昇

 10万1,891人がアナフィラキシーで入院したうち3万700人(30.1%)が、食物が誘因のアナフィラキシーであった。

 入院率が最も高かった年齢層は15歳未満であり、1998年の年間10万人当たり2.1人から、2018年には9.2人へと増加しておりました。

 食物を誘因とするアナフィラキシーが原因の可能性がある致死的イベントによる死亡は152件認められた。致死的食物アナフィラキシーは、1998年の0.70%から、0.19%へと減少しました。

 187件の死亡のうち、少なくとも86件(46%)は、ピーナッツまたはナッツ類(tree nut)が誘因の死亡であった。また、就学児童(16歳未満)の66件の死亡のうち、17件(26%)は牛乳によるものであった(成人は5%)ようです。

 そして、同時期の20年間に、アドレナリン自己注射器の処方率は336%上昇したとのことです。
 アレルギー心配な場合は小児科で検査することもできます。参考になさってください。
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