Choi HK et al. Soft drinks, fructose consumption, and the risk of gout in men: prospective cohort study. BMJ. 2008 Feb 9; 336(7639): 309-12. Epub 2008 Jan 31.
院長ブログ
2021.08.28 | お知らせ
健康講座264 痛風悪化の意外な要因
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
砂糖で甘味を加えたソフトドリンク(コーラ、その他の炭酸飲料など)に多く含まれる果糖は血清尿酸値を上昇させることが知られているが、これらの飲み物や果糖は痛風リスクにも関連するようです。カナダBritish Columbia大学バンクーバー総合病院は、大規模な研究によってこれらの飲料が男性の痛風リスクを増大させることを確認しております。
4万6,393人の男性医療従事者を対象とした12年に及ぶ研究
本試験は、進行中の医療従事者追跡研究に登録された5万1,529人の男性医療従事者(歯科医、検眼師、整骨医、薬剤師、足治療医、獣医)のうち、ベースライン時に痛風の既往歴がなかった4万6,393人を対象とした12年に及ぶ研究でございます。登録者の91%が白人で、年齢は1986年時に40~75歳であった。ソフトドリンクおよび果糖の摂取に関する情報は検証食物頻度質問票を用いて収集しました。
フルーツジュース、リンゴ、オレンジもリスクを増大
12年の追跡期間中に755人が痛風を発症しました。砂糖で甘味を加えたソフトドリンクの摂取の増加にともなって痛風のリスクが増大したのです。ソフトドリンクの摂取が月に1杯未満の群に比べ、週に5~6杯の群の多変量相対リスクは1.29、日に1杯の群では1.45、日に2杯以上の場合は1.85でありました。ダイエット用のソフトドリンク(低カロリーのコーラなど)は痛風リスクを増大させなかったともいわれております(傾向性のp=0.99)。果糖の摂取量を5つの段階に分け、最も少ない群の痛風の多変量相対リスクを1.00とした場合、摂取量が増えるに従って相対リスクは1.29、1.41、1.84、2.02と上昇したのです。また、果糖の摂取を高めるフルーツジュースや果糖が豊富な果物(リンゴ、オレンジ)も、痛風リスクを増大させました。
砂糖で甘味を加えたソフトドリンク、フルーツジュース、果糖が豊富な果物は男性の痛風リスクを著明に増大させたが、ダイエット用のソフトドリンクは増大させなかったのです。従来の痛風予防の食事療法はプリン体の摂取制限に焦点を当てているが、低プリン体食は炭水化物を多く含み、果糖が豊富な食べ物が多いため、全体としてはかえって痛風発作のリスクを高めることもあるので注意が必要です。
原著