院長ブログ

健康講座259 糞便トレードへの期待

みなさんどうもこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


突然ですが、老いたマウスが若いマウスからある物を取り入れることで脳の衰えが解消して若返りうることが示されました。

ヒトでも同様の効果があるかもしれまえんが、ちょっと勇気がいるかもしれません。

老齢マウスが若いマウスから、糞を受け取った。そうすることで糞中の微生物の老化への関与が検討されたのでございます。

研究者は生後3~4ヵ月の若いマウスの糞を8週間のあいだ週に2回栄養チューブで生後19~20ヵ月の老齢マウスに投与しました。

その結果、最初の変化として老齢マウスの腸の微生物組成が若いマウスに似通い始め、若いマウスと同様に腸球菌がより豊富になりました。

そこから、脳も変化し、学習や記憶と関連する脳領域・海馬の性質が若いマウスのそれにより近くなり、老化と関連する脳と末梢の免疫の差も解消したのです。

効果は振る舞いにも現れました。迷路をより早く通れるようになり、もう1回させたところ迷路の道順をより覚えており、老化と関連する認知障害の改善が裏付けられたのでございます。

若いマウスではなく老齢マウスの糞が与えられた老齢マウスではそれらの効果は認められていません。

老いた個体の糞を若い個体に移植するとどうなるのか? 去年5月の別の報告によると若返りとは逆の衰えが生じるのでございます。すなわち老齢ラットからの糞移植で若いラットはワーキングメモリー障害、樹状突起棘の減少、神経栄養因子(BDNF)発現低下などの認知機能低下を意味する振る舞いや脳の変化を呈しました。

糞の交換でこのような変化があるのはとても面白いですね。