院長ブログ

健康講座249 新型コロナ抗原検査の使い方 PCRと比較

みなさんどうもこんにちは。


いつもご覧頂きありがとうございます。新型コロナウイルスの拡大がなかなかやみませんね。ここで、世間でよく出るPCR検査でなく抗原検査の可能性について、私自身、学びたいと思います。


新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンを接種すれば、たとえ感染しても抑えが効くそうです。したがって、ウイルスは他人に感染させるほどには増え難いらしとのことです。また、mRNAワクチンは変異株に対抗する中和抗体をどうやら底上げするようです。他人を感染させうる人のみを見分ける抗原検査はその感染(COVID-19)の検診の有り様を一変させるかもしれません。

PfizerのCOVID-19ワクチンはウイルス量を抑えて感染伝播を減らしうる

イスラエルでCOVID-19ワクチン接種済みの人と非接種の人の感染の程度を比較したところ1回目接種後12~28日のウイルス量はワクチン非接種の人の4分の1ほどに抑えられており、同ワクチンはすでに裏付けられている発症予防に加えて他人を感染させ難くする効果もあると示唆されました。

ウイルス量が多い人ほど他人を感染させやすいことはLancet Infectious Diseases誌などに掲載された試験で示されています。SARS-CoV-2に感染した282人とそれらと密接に接触した753人を調べたその試験の結果、他人に感染させたのは3人に1人(90人;32%)のみで、ウイルス量が多い人ほど他人を感染させていました。また、咳がある人とない人の他人への感染伝播に差はありませんでした。

ということはウイルス量が多い感染者に注意が必要となります。そして、次に紹介する試験ではウイルス量が多くて他人を感染させやすい人の同定に抗原検査が役にたちそうです。

抗原検査はCOVID-19を移しうる有症者の検出には有用

COVID-19を他人に感染させうる患者の検出を比較した試験で、15分ほどで済む抗原検査がウイルスのRNAを検出するPCR検査を凌ぐと示唆され、抗原検査はCOVID-19検診へ寄与するかもしれません。

試験にはCOVID-19発症患者251人が参加し、気道検体の抗原検査とPCR検査が培養検査の結果とどれだけ一致するかが調べられました。

培養検査は増殖しうるウイルスが採取検体に存在するかどうかを調べます。培養細胞でウイルスが増えれば検体に生きているウイルスが存在することを意味し、感染可能なウイルスがいたことを示唆します。一方、培養細胞でウイルス増殖がなかった検体の患者には他人に移って感染しうるほどの生存ウイルスは恐らく存在しません。

試験の被験者251人のうち培養検査で陽性だったのは28人でした。PCR検査では培養検査陽性28人とその他10人を含む38人が陽性でした。PCR検査では陽性で培養検査では陽性でなかったその差し引き10人は検体採取時点で他人を感染させる心配は恐らくなかったようです。PCR検査はそれら10人の検体のウイルスRNA断片か無欠だが少量のSARS-CoV-2を検出したとかんがえられます。

PCR検査とは対照的に抗原検査の陽性判定は培養検査とより一致していました。抗原検査で陽性の27人は培養検査でも陽性で、抗原検査と培養検査の陽性判定が食い違っていたのは1人のみでした。

COVID-19流行下で、他人を感染させうる人を同定し、自宅安静を促すことは大事な目的のひとつです。安価でより多くに届けうる抗原検査は、COVID-19伝播を封じることに大いに貢献すると期待できます。

今回の試験と同様にPCR検査が他人を感染させそうにない人を無闇に検出してしまうことは先立つ幾つかの試験でも示唆されているようでございます。それらの試験によると発症後8日の検体のほとんどは、PCR検査ではウイルスRNAが検出されたのとは対照的に感染可能ウイルスを有していませんでした。


今回の試験は有症者が対象でした。


これは、抗原検査がPCRに勝るという意味での内容ではないことをご留意願います。どちらもすぐできるのならPCRであることに越したことはありません。

当院は、資源やマンパワーなどの限界から抗原検査しか行っておりません。零細クリニックにおいての一つの役割は感染拡大を少しでも減らすことだと思います。

感染リスクが高い人、つまりウイルス量が多い方を早く発見し、自粛へつなげるのが本質的に肝要だと考えます。

PCR検査は全く否定していないので、PCR検査希望の方はお間違いなく、検査を実施している施設へ受診頂ければ幸いです。