院長ブログ
2021.08.24 | お知らせ
健康講座240 グリセミック指数(glycemic index:GI)って何ですか?
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
グリセミック指数(glycemic index:GI)という言葉を最近多用しておりましたので、少し解説してみたいと思います。GIの概念を提唱したのはカナダ・トロント大学のJenkins先生だそうです。Jenkins先生がGIに関する最初の論文を報告したのが今から40年前の1981年であるそうです。
GIは、簡単に言えば、「炭水化物を含有する食品摂取後の血中グルコース値の上昇のしやすさ」の指標であります。基準食品としてはJenkins先生の最初の論文では白パン(white bread)50gが用いられていましたが、最近ではグルコース50gが用いられることが多いようでございます。すなわちGI=試験食品50g摂取後2時間における血糖値上昇曲線下面積/グルコース50g摂取後2時間における血糖値上昇曲線下面積×100となるのです。意味が分かりませんね。いろいろな食品のGI値が知りたい場合にはシドニー大学のサイト「Sydney University Glycemic Index Research Service」が有用であるようでございます。GI値は食品の調理法や同時に摂取する他の食品の影響を受けるので、細かいGI値を覚える必要は全くないです。一般的に食物繊維の多い食品、精製していない食品、たとえば豆類や全粒穀物は低GI食品であり、逆に白米、うどんやパンなどの精製された穀物や砂糖入り飲料水などは高GI食品に分類されるのです。この結果だけ覚えて頂ければ十分でございます。
これまでに、全粒穀物や食物繊維を多く含む低GI食品を摂取することが糖尿病の発症予防および治療に有用であることが報告されています。
とある研究をご紹介します。
炭水化物食品はGI値により7群に分類され、各群のGI値はそれぞれ豆類(legumes)42、豆類を除いたでんぷん質食品(nonlegume starchy foods)93、非でんぷん野菜(non-starchy vegetables)54、果物(fruits)69、果実飲料(fruit juice)68、乳製品(dairy)38、砂糖入り飲料(sugar-sweetened beverages)87、としました。高GI値群において複合心血管イベント、心血管死が有意に増加していたとの結果です。
本論文によれば、心血管疾患予防を目的とする場合には低炭水化物食(low-carbohydrate diet)ではなく低GI食を推奨するのが良さそうです。そして、低GI食に含まれる食品の多くは、心血管疾患予防に有効とされる地中海食(Mediterranean diet)と重複するものが多いのでございます。全粒穀物、豆類、非でんぷん野菜などの低GI食品を日常の食事に積極的に取り入れたバランスの良い食事が最も健康的である、といつもと同じような結論に帰着致しました。
そういうことでございます。参考にしてください。
参考