Muraki I et al. Fruit consumption and risk of type 2 diabetes: results from three prospective longitudinal cohort studies. BMJ. 2013 Aug 28;347:f5001.
院長ブログ
2021.08.24 | お知らせ
健康講座239 糖尿病リスクを減らす果物は②?
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
果物摂取と2型糖尿病リスクとの関連性について、果物の種類によって差があること、また果物そのものよりもジュースのほうがリスクは高いことが、米国・ハーバード大学公衆衛生学部の検討で明らかとなったのです。前回の内容と重複もありますが、是非見比べて頂ければ幸いです。
10種の果物につき、約18万8,000人の医療従事者のデータを解析
研究グループは、果物の種類によって2型糖尿病の発症リスクが異なるかを検証するために、医療従事者を対象とした3つの大規模な縦断的前向きコホート試験のデータの解析を行ったのです。慢性疾患(2型糖尿病、心血管疾患、がん)がみられなかった者を対象とした。
食品摂取頻度質問票を用いて、標準的な1食分(1サービング)の果物(10種)の摂取状況を調査した。被験者は、9つの選択肢(「まったく食べないか、<1食/月」から「≧6食/日」まで)から1つを選んで回答した。ジュースはリンゴ、オレンジ、グレープフルーツなどについて調査したようです。
ブルーベリー、ブドウ、リンゴに予防効果
346万4,641人年当たり1万2,198人が2型糖尿病を発症した。果物の総摂取量で5群(<4食/週、4〜6食/週、1食/日、2食/日、≧3食/日)に分けて解析したところ、摂取量の増加と2型糖尿病リスクの低下には相関が認められ、3食/週増加するごとにリスクが有意に低下した。個々の果物で相互調整を行い、それぞれ摂取量で5群(<1食/月、1〜3食/月、1食/週、2〜4食/週、≧5食/週)に分け、3食/週増加するごとの糖尿病リスクの危険性を算出した。結果は、HRが低い順(糖尿病リスクの低下が大きい順)に下記のとおりで、ブルーベリー、ブドウ・干しブドウ、リンゴ・洋梨、グレープフルーツで糖尿病リスクの有意な低下が認められた。
危険度を数値化すると
ブルーベリー0.74 ブドウ・干しブドウ0.88 プルーン0.89 リンゴ・洋梨0.93
ブルーベリー0.74 ブドウ・干しブドウ0.88 プルーン0.89 リンゴ・洋梨0.93
バナナ0.95 グレープフルーツ0.95 桃・プラム・アプリコット0.97 オレンジ0.99
イチゴ1.03 メロン1.10
果物ジュースについては、摂取量が3食/週増加するごとに、2型糖尿病リスクが有意に増加したのです。3食/週のジュースを同量の果物に換算すると、2型糖尿病リスクが7%低下し、個々の果物ではブルーベリーで33%、ブドウ・干しブドウで19%、リンゴ・洋梨で14%、バナナで13%、グレープフルーツで12%低下したようでございます。
ブルーベリー、ブドウ、リンゴの摂取量が多いほど2型糖尿病リスクが低下するのに対し、ジュースの摂取量が多いとリスクは高くなることも示唆されました。
原著