Gangwisch JE, et al. Am J Clin Nutr. 2019 Dec 11.
院長ブログ
2021.08.23 | お知らせ
健康講座235 糖質と不眠症
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
摂取後の血糖上昇の速さの指標「グリセミックインデックス(GI)」の高い食品や糖質量「グリセミックロード(GL)」の多い食品が、不眠症のリスクと相関するとする報告がされました。不眠症の原因の一部が高GI食品や高GL食品の取り過ぎの可能性があるのでございます。
米コロンビア大学は、食事摂取状況(高GI食品や高GL食品、および果物や野菜などの特定の食物の摂取量)と不眠症の有病率・発症率の関係を検討したようです。対象者数は1994~1998年の7万7,860人でした。
対象者全体を日常の食事のGI値で五分位に分け、不眠症の有病率との関連を検討。すると、普段GI値が高い食事をしている群ほど不眠症の有病率が有意に高いことが分かったのです。
さらに、添加糖類、でんぷん、精製穀物の摂取量が多く高GLの食事をしている女性で不眠症のリスクが高いことがわかったのです。反対に果物(ジュースでないもの)や野菜、食物繊維、全粒穀物の摂取量は不眠症のリスクが低いことと関連していたのでございます。これらの結果は、高GI・高GLが不眠症の原因であるという因果関係を証明するものではないが、不眠症の関連因子であることを明らかにするものでございました。
添加糖や精製穀物など高GI食品は血糖値の急上昇を引き起こす。血糖値が急速に上昇するとインスリンが放出されて血糖値は下がるが、アドレナリンやコルチゾールも放出され、それによって睡眠が妨げられる可能性があると考察されています。
なお、糖が豊富な果物の摂取が不眠症リスクでないことについては、果物には糖が含まれているが繊維質も含んでおり、それが糖の吸収を抑制し血糖値の急上昇を防ぐと考えられています。不眠症を引き起こす犯人は、自然の食物には含まれていない精製された糖を大量に含む、高度に加工された食品であることが示唆されるのでございます。
参考にしてください。
原著