院長ブログ
2021.11.11 | お知らせ
健康講座378 便秘における漢方薬
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
便秘の中でも、慢性の便秘は日本人の7~8人に1人は症状があるとされているます。そして、便秘とは、「排便回数の減少」と「排便困難症」が相まった病態であるとされ、ホルモンの関係から患者は女性で圧倒的に多いようでございます(ただし高齢になるにつれ性差は縮小)。長期間にわたり罹患し、治癒することは難しいとされるようです。その原因として、一番問題となるのは「便意の我慢」であり、そのほか間違えたダイエットや加齢による大腸運動の低下、薬剤によるものなどがあるということでございます。
便秘が日常生活に及ぼす影響として、放置により疾患の原因となる可能性があり、便秘が続くと腸内環境はどんどん悪化します。また、便秘はQOLを下げるので、日常活動性や労働生産性の低下を招き、職場の欠勤率を上昇させるという報告もあります。
慢性便秘症の分類には、「便秘型IBS」「機能性便秘」「薬剤性便秘」「症候性便秘」「器質性便秘」の5つがあり、薬剤性では抗うつ薬や抗コリン薬など、症候性では糖尿病、パーキンソン病など、器質性では大腸がん、炎症性腸疾患などがとくに注意が必要です。
現在、便秘で処方される治療薬としては、緩下剤(便をやわらかくし、排便促進作用)、刺激性下剤(腸を刺激し、強制的に排便させる作用)、漢方薬(体質や症状に合わせて選択できる)の3種類があります。緩下剤では、酸化マグネシウムがわが国では広く処方されていますが、高マグネシウム血症への注意や併用注意薬の多さが短所であり、刺激性下剤であるセンノシドなどでは、連用することで習慣性、依存性が生じ、効果が低下することが指摘されています。
その点、漢方薬は、患者さんの安心感が高く、作用の強弱が選択でき、便秘周辺症状(腹部膨満など)にも対応できることで最近見直されているということでございます。
具体的には、「大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)」「麻子仁丸(マシニンガン)」「潤腸湯(ジュンチョウトウ)」「桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)」「防風通聖散(ボウフウツウショウサン)」「大建中湯(ダイケンチュウトウ)」の6種類が、便秘の治療で使われる代表的な漢方薬であります。
各漢方薬の特徴として、次の点が挙げられます。「大黄甘草湯」は、比較的作用が強くエビデンスもあるが、高齢者には注意が必要です。「麻子仁丸」は、高齢者に適してます。「潤腸湯」は効果がマイルドで軽症から中等症の患者や高齢者に適しています。「桂枝加芍薬大黄湯」は、腹部膨満感や腹痛、ガス排出など便秘周辺症状にも効果があるよです。「防風通聖散」は、作用が弱いもののゆっくりと効果を発揮し、中高年に適しています。「大建中湯」は、作用が弱いものの、下腹部の重さ、痛みなどの便秘周辺症状にも適しています。
便秘対策としては、食物繊維・運動・水分不足といった生活習慣の是正が重要であり、子供のころからトイレを我慢しない行動も大事だという。また、排便の姿勢について、和式トイレのしゃがんだ姿勢が理想だが、洋式トイレが主流の現代では、前かがみ35度の前傾姿勢で排便するのが望ましいとしている。
参考にしてもろうて。
■参考
日本東洋医学会
漢方のお医者さん探し