Jiang W, et al. Soc Sci Med. 2021 Aug.
院長ブログ
2021.08.21 | お知らせ
健康講座231 自然と自殺の関係
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
日本国内の全ての市区町村の公園や森林などの緑地と、自殺による死亡率との関連を解析した研究結果が報告され、緑地の存在が近隣住民の自殺リスクの低下につながっている可能性が示されたのでございます。
緑地の多さがその地域に住む人々のメンタルヘルスに良い影響を与えている可能性を指摘した研究報告は少なくないのです。今回、1975年までデータを遡り、緑地と自殺リスクとの関連に関する初の全国調査を行ったのです。
調査対象は、国内の全ての市区町村。政府統計に基づき、大都市(43)、中小都市(790)、農村(908)に分類。市区町村の規模により影響は異なる可能性があることから、それぞれの分類ごとに、性別・年齢層別に緑地の多さと自殺による死亡率との関連を比較検討しました。分析には国勢調査の実施に合わせて1980年から2010年までの10年ごとのデータを用いたようです。
緑地の多さの評価には、農林水産省などのデータに基づき全ての自然/人工公園8万4,370カ所と森林について、各調査年につき市区町村ごとに用いました。自殺による死亡率は、厚生労働省のデータに基づき、市区町村ごとに人口10万人当たり調査年を中心とした10年間の平均値を算出しました。
1975~2014年の自殺による死亡者数は、88万6,440人であった。自殺による死亡率の全体的な傾向として、日本の北東部と南西部で高く、男性は女性より高かった。緑地の多さと自殺死亡者率との間には、以下のような有意な関連が存在したのでございます。
まず、大都市では、人口当たりの公園の数が多いほど、65歳以上の女性の自殺死亡者率が低かったのです。人口当たりの公園の数が多いごとに、自殺死亡者率が少ない傾向にあり、10万人当たり自殺死亡者数は8.1人少ないことを示唆していました。
続いて中小都市では、公園の面積の広さが、自殺死亡者率の低さと有意に関連し、人口当たりの公園の多さも自殺死亡者率の低さと有意に関連していたのです。
森林の面積の広さが自殺死亡者率の低さと関連していた。具体的には、森林面積の広さいほど自殺死亡者率のが低くかったようです。
都市部の公園と農村の森林は自殺死亡率に対する保護効果があるようでございます。
個人的には15分から30分程度の朝さんぽがお勧めでございます。
太陽の光をあびることで多岐にわたるメリットがあるので是非実践してみてください。
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