院長ブログ

健康講座291 日本食と認知症

 みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 日本食を取っている人は認知症のリスクが低いことが知られています。しかし、その食生活を維持せずに、日本食パターンから遠い食生活に変化してしまった人は認知症リスクが上昇してしまうことが、3,000人以上の日本人を追跡した結果から明らかになっとります。反対に、日本食パターンに近い食生活に変化した人は、認知症リスクが低下するという結果でございます。


 この研究は、東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野の研究グループが行ったものです。

 この研究に、1994年実施の「大崎国保コホート研究」と2006年実施の「大崎市市民健康調査」のデータを用いたようです。この2回の調査の両方に協力していた人から、死亡者、転居者、既に要介護認定を受けていた人、食事アンケートに回答しなかった人などを除外した3,146人を解析対象としました。

 日本食らしさの評価には、8項目からなる日本食指数(the 8-item Japanese Diet Index;JDI8)スコアを用いた。これは、米飯・みそ汁・海藻・漬物・緑黄色野菜・魚・緑茶の摂取量が多い場合に加点、牛肉または豚肉の摂取量が多い場合に減点して、合計0~8点のスコアで評価するもの。点数が高いほど日本食パターンに近い(日本食らしい)食生活と判定されるようです。

 1万4,336人年(平均5.0±1.4年)の追跡で231人(7.3%)が認知症を発症しました。、JDI8スコアが変化しなかった群を基準に、他の群の認知症リスクを比較したもです。

 その結果、JDI8スコアが2点以上低下した群はハザード比(HR)1.72で、有意なリスク上昇が認められました。JDI8スコアが1点低下した群はHR1.10、1点増加した群はHR0.82、2点以上増加した群はHR0.62であり、JDI8スコアの増加が大きくなるほど認知症リスクが低下するという有意な相関が認められたのです。

 ごちゃごちゃ小難しいことを申し上げましたが、要するにですよ、食習慣が日本食パターンに近づくことは認知症のリスク低下と関連し、日本食パターンから遠ざかることは認知症リスクの上昇と関連していることがほのめかさrているのです。

 日本食は、認知症リスク低下との関連が報告されている地中海食と同様に、野菜や果物、魚の摂取量が多く、そのことによる抗酸化・抗炎症作用が認知症リスクを抑制するのではないかと考えられております。加えて日本の食生活には、やはり認知症リスク低下との関連が報告されている緑茶の摂取量が多いという特徴もあるとのことです。

参考にして頂いて。

原著