院長ブログ
2021.10.27 | お知らせ
健康講座363 ミトコンドリアを介する新規作用機序の2型糖尿病治療薬
本剤は、2型糖尿病の適応で、2021年9月16日に発売されました。
本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮します。
通常、成人にはイメグリミン塩酸塩として1回1,000mgを1日2回朝、夕に経口投与します。なお、本剤とビグアナイド系薬剤は作用機序の一部が共通している可能性があります。臨床試験でも両剤を併用した場合は、ほかの糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたことから、併用薬を選択する際は注意が必要です。
臨床試験において、本剤が投与された安全性評価対象1,103例中、副作用発現数は168例(15.2%)でした。主な副作用は、低血糖6.7%(74例)、悪心2.1%(23例)、下痢1.9%(21例)、便秘1.3%(14例)などでした。なお、低血糖は重大な副作用としても報告されています。
主な副作用には、悪心、下痢、便秘などがあります。重大な副作用として低血糖(6.7%)が報告されていますが、本剤の作用によるインスリン分泌はグルコース濃度依存的で、低血糖時にはインスリンを分泌させないことが報告されており、単剤使用での重症低血糖のリスクは低いと考えられます。
腎機能障害のある患者では、腎臓からの排泄が遅延し、本剤の血中濃度が上昇する恐れがあることから、eGFRが45mL/min/1.73m2未満(透析を含む)の患者への投与は推奨されていません。
やはり、注意すべき点は、メトホルミンとの併用により消化器症状が増大する恐れがあることです。メトグルコを第一選択薬にすることが多いので、薬価もメトグルコを上回る本薬薬剤の位置付けは今後の課題となりそうです。個人的に、メカニズムにはかなり興味がありますが、しばらく二週間処方であり、海外のデータもあまりないので静観していこうかと思ってます。