Izumida T, et al. J Epidemiol . 2020 Nov 7.
院長ブログ
2021.10.13 | お知らせ
健康講座348 短時間睡眠とメタボリックシンドローム
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
睡眠薬の使用とメタボリックシンドローム(MetS)の関連が明らかになりました。睡眠薬を使用している短時間睡眠の人でMetSの頻度が有意に高いというのです。自治医科大学が地域住民対象のベースラインデータを解析した結果です。
疫学研究からは、睡眠時間がMetSや心血管疾患の有病率と相関することが示されているようです。睡眠薬の使用によって睡眠時間が増えたり睡眠の質が改善することで、血圧や血糖に好ましい影響を与えるとする報告があるのとは反対に、睡眠薬の使用と心血管イベントの増加の関連を指摘する報告もあるようです。今回、研究のデータを用いて、睡眠薬の使用とMetS有病率との関連を検討したのです。
検討の対象は、国内13カ所で健診を受けた28~95歳の6,153人(平均年齢63.8±11.2歳で、女性54.4%)。
対象者のうち睡眠薬を使用しているのは858人(13.9%)でした。睡眠薬使用群と非使用群を比較すると、使用群は高齢で中性脂肪値と抑うつレベルが高く、脳卒中とがんの既往者が多いという有意差が認められました。
また、睡眠薬使用の有無にかかわりなく睡眠時間が6~7時間の群でMetS有病率が最も低いことが分かったようです。
また睡眠時間が短い場合には、睡眠薬使用群においてMetS有病率がより高く、非使用群との間に有意差が存在したのです。具体的には、睡眠時間6時間未満の群では睡眠薬使用群が非使用群に対し、有病率が3倍高かったです。睡眠時間が6時間以上の場合は、睡眠薬使用の有無によるMetS有病率の差は有意でなかったようです。
この結果から、睡眠時間が短い睡眠薬使用者は、睡眠時間が短い非使用者よりもMetS有病率が3倍高いことがわかりました。よって短時間睡眠の睡眠薬使用者では、代謝性疾患や動脈硬化進展へのリスクに、より注意が必要と考えられるでしょう。
原著