院長ブログ

当院での新型コロナ(COVID19)ワクチン接種後のアナフィラキシーと対策

こんにちは。

小川糖尿病内科クリニックの小川義隆です。



新型コロナ(COVID19)ワクチン接種後の症状に関しまして質問がありましたので、
こちらで簡単に述べさせていただきます。

まず、本ワクチン接種で想定しておくものとして、大きくアナフィラキシーとその他副反応があります。

今回はアナフィラキシーに関しての内容にとどめさせていただきます。


COVID-19ワクチンとアナフィラキシー

そもそも人は、体調や体質により、外部から体内に入るもの (例えば食物、お薬など)によって、“アレルギー反応” を起こすことがあります。 

ワクチンも同様に、頻度は多くありませんが、アレルギー 反応などの副反応を起こすことがあります。

アレルギー反応が短い時間数分~数時間:ほとんどが30分以内で全身に激しくあらわれることをアナフィラキシーといいます。


◆ 具体的な症状

蕁麻疹、皮膚のかゆみ、赤み、動悸、吐き気、嘔吐、頭痛、冷や汗、血圧低下、皮膚が白くなる、くしゃみ、咳、呼吸困難、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)痙攣、意識障害など多岐にわたります。

その中でも血圧低下や意識レベルの低下、失神を伴うなど、重症の場合をアナフィラキシーショックと呼びます。

 COVID19ワクチン100万回投与当たり5~11.1例のアナフィラキシーが報告されており、

ワクチンに使用されているポリエチレングリコール(PEG)がアレルギー反応を引き起こす可能性があると指摘されています。

アナフィラキシーは新型コロナ(COVID19)ワクチンに特異的なものでは決してありません。



◆他のワクチンのアナフィラキシー

 その他のワクチン(日本脳炎・MR・インフルエンザなど)によるアナフィラキシーは非常に稀であり、せいぜい100万人に1人の頻度で、 報告された死亡者はいません。
日本のどこかで毎年10人ほどはワクチン接種後にアナフィラキシーを発症していることになります(厚生労働省 予防接種後副反応集計報告書)。


◆アナフィラキシー発症後の対策

 決して頻度が多いわけではありませんが、万が一重篤なアナフィラキシー(ショック)が発症した場合、直ちに患者の意識の有無、呼吸困難や皮膚症状の有無を確認し、全身の観察を行った後に救急車で搬送します。

患者を寝かせて楽な姿勢にして足を30cmほど高くし、呼吸状態が悪化している場合は酸素投与を行います。必要に応じてアドレナリン筋肉注射を投与、必要に応じて心肺蘇生を実施します。



 上記の処置に関しましては、保険診療で対応が可能です。
万が一の処置に備えて、必ず保険証の持参もお願いします。

 このため、当院で新型コロナCOVID19ワクチン接種後は15~30分程度の院内待機をお願いしております。

 その他にも副反応はありますが、アナフィラキシーが最も重篤なものになるためまずは、こちらをご留意頂ければ幸いです。


◆最後に…

 最終的にワクチン接種は、リスクとベネフィットを勘案し、接種を望まれた方が接種して頂き、最終判断はご自身行って頂くしかありません。

 尚、私自身は先日一回目接種を行いました。一回目に関しては少し筋痛があった程度で、その他は全く何もありませんでした。二回目接種しましたら症状報告したいと思います。




<追記>

以下は専門的なデータになります。興味ある方のみご高覧下さい。


Pfizer-BioNTech社およびModerna社のmRNA新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、米国の医療従事者約6万5,000人を対象に、初回接種後の急性アレルギー反応発生状況について調査が実施された。

 mRNA COVID-19ワクチンの初回投与を受け、ワクチン接種後3日間、症状を報告した。

 急性アレルギー反応の症状には、接種部位以外の発疹またはかゆみ、じんましん、口唇・舌・目・顔の腫脹、喘鳴・胸部圧迫感または息切れが含まれた。

 主な結果は以下の通り。

ワクチン初回接種を受けた6万4,900人のうち、2万5,929人(40%)がPfizer-BioNTech社、3万8,971人(60%)がModerna社のワクチンを接種した。

アナフィラキシーは16人で確認された(0.025%[95%CI:0.014~0.040%])。Pfizer-BioNTech社ワクチンでは7例(0.027%[0.011~0.056%])、Moderna社ワクチンでは9例(0.023%[0.011~0.044%])報告された(p=0.76)。
・アナフィラキシーが確認された人の平均年齢は41(±13)歳、94%(15人)が女性だった。63%(10人)はアレルギー歴があり、31%(5人)はアナフィラキシー歴があった。
・アナフィラキシー発症までは平均17(±28、1~120)分であった。
1人が集中治療室に入り、9人(56%)がアドレナリンの筋肉内投与を受け、全員がショック療法または気管挿管なしで回復した。

 mRNA COVID-19ワクチンによるアナフィラキシーの全体的なリスクは非常に低く、他の一般的な医療行為と同等と思われる。