Blumenthal KG, et al. JAMA. 2021 Mar 8.[Epub ahead of print]
院長ブログ
2022.01.06 | お知らせ
当院での新型コロナ(COVID19)ワクチン接種後のアナフィラキシーと対策
こんにちは。
小川糖尿病内科クリニックの小川義隆です。
新型コロナ(COVID19)ワクチン接種後の症状に関しまして質問がありましたので、こちらで簡単に述べさせていただきます。
まず、本ワクチン接種で想定しておくものとして、大きくアナフィラキシーとその他副反応があります。
今回はアナフィラキシーに関しての内容にとどめさせていただきます。
そもそも人は、体調や体質により、外部から体内に入るもの (例えば食物、お薬など)によって、“アレルギー反応” を起こすことがあります。
ワクチンも同様に、頻度は多くありませんが、アレルギー 反応などの副反応を起こすことがあります。
アレルギー反応が短い時間(数分~数時間:ほとんどが30分以内)で全身に激しくあらわれることをアナフィラキシーといいます。
◆ 具体的な症状
蕁麻疹、皮膚のかゆみ、赤み、動悸、吐き気、嘔吐、頭痛、冷や汗、血圧低下、皮膚が白くなる、くしゃみ、咳、呼吸困難、ゼイゼイ、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)痙攣、意識障害など多岐にわたります。
その中でも血圧低下や意識レベルの低下、失神を伴うなど、重症の場合をアナフィラキシーショックと呼びます。
COVID19ワクチン100万回投与当たり5~11.1例のアナフィラキシーが報告されており、
ワクチンに使用されているポリエチレングリコール(PEG)がアレルギー反応を引き起こす可能性があると指摘されています。
アナフィラキシーは新型コロナ(COVID19)ワクチンに特異的なものでは決してありません。
<追記>
以下は専門的なデータになります。興味ある方のみご高覧下さい。
Pfizer-BioNTech社およびModerna社のmRNA新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、米国の医療従事者約6万5,000人を対象に、初回接種後の急性アレルギー反応発生状況について調査が実施された。
mRNA COVID-19ワクチンの初回投与を受け、ワクチン接種後3日間、症状を報告した。
急性アレルギー反応の症状には、接種部位以外の発疹またはかゆみ、じんましん、口唇・舌・目・顔の腫脹、喘鳴・胸部圧迫感または息切れが含まれた。
主な結果は以下の通り。
・ワクチン初回接種を受けた6万4,900人のうち、2万5,929人(40%)がPfizer-BioNTech社、3万8,971人(60%)がModerna社のワクチンを接種した。
・アナフィラキシーは16人で確認された(0.025%[95%CI:0.014~0.040%])。Pfizer-BioNTech社ワクチンでは7例(0.027%[0.011~0.056%])、Moderna社ワクチンでは9例(0.023%[0.011~0.044%])報告された(p=0.76)。
・アナフィラキシーが確認された人の平均年齢は41(±13)歳、94%(15人)が女性だった。63%(10人)はアレルギー歴があり、31%(5人)はアナフィラキシー歴があった。
・アナフィラキシー発症までは平均17(±28、1~120)分であった。
・1人が集中治療室に入り、9人(56%)がアドレナリンの筋肉内投与を受け、全員がショック療法または気管挿管なしで回復した。
mRNA COVID-19ワクチンによるアナフィラキシーの全体的なリスクは非常に低く、他の一般的な医療行為と同等と思われる。
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