院長ブログ
2023.04.26 | お知らせ
健康講座595 細胞外液、浮腫み、塩分、高血圧の関連
みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
細胞外液と浮腫み、塩分、高血圧の関連については、多くの研究が行われており、その相互作用についてはまだ解明されていない側面があるものの、その基本的な概念は理解されています。
本稿では、細胞外液、浮腫み、塩分、高血圧について、関連する文献を引用しながら詳しく解説していきます。
- 細胞外液
細胞外液は、体内の細胞外に存在する液体であり、血管外液の一種です。血管外液は、リンパ液や間質液、血漿などからなりますが、細胞外液はその中でも細胞膜の外側に存在する液体を指します。
細胞外液は、細胞膜を通して物質のやり取りを行います。また、細胞外液には、ミネラルや電解質、栄養素、老廃物などが含まれています。このように、細胞外液は細胞内液とともに、体内の水分バランスを維持するために重要な役割を果たしています。
- 浮腫み
浮腫みは、体内の水分量が増えることで、組織や皮膚が膨張して腫れる状態を指します。浮腫みは、塩分の摂取過剰、水分過剰、体内の水分排出機能の低下、リンパ液の流れの障害など、様々な原因によって引き起こされます。
浮腫みは、体内の水分量が増えることで血管内圧が高くなり、血管壁から血管外液が漏出して浮腫みが起こります。このように、細胞外液が増加することが浮腫みの原因の一つとなります。
- 塩分
塩分は、ナトリウムとクロールの化合物で構成されています。塩分の摂取量が過剰になると、血液中のナトリウム濃度が高くなり、血圧が上昇する原因となります。また、ナトリウムが細胞外液に存在する量が増えることで、細胞外液の量が増加し、細胞内外の浸透圧のバランスが崩れ、浮腫みを引き起こすこともあります。
さらに、塩分の摂取過剰は、腎臓の機能を低下させ、尿量が減少することにより、体内の水分量が増加しやすくなります。これにより、血管内圧が高くなり、血管壁から血管外液が漏出して浮腫みが起こることもあります。
- 高血圧
高血圧は、血管内の血液の流れがスムーズでなく、血管内圧が常に高い状態が続くことによって引き起こされる病気です。高血圧は、心臓や血管に負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。
高血圧の原因は様々で、遺伝的要因や生活習慣、環境要因などが関与します。しかし、細胞外液や浮腫み、塩分の摂取量が高いことが高血圧のリスク因子の一つとなります。
- 細胞外液、浮腫み、塩分、高血圧の関連
細胞外液、浮腫み、塩分、高血圧は、相互に関連しています。塩分の摂取過剰は、細胞外液の量を増加させることがあります。このことが、細胞外液量の増加や浮腫みの発生、高血圧の原因の一つとなります。
また、浮腫みが起こると、細胞外液の量が増加するため、血管内圧が高くなり、高血圧のリスクが高まることもあります。
さらに、高血圧は、心臓や血管に負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。高血圧の予防や治療には、塩分の摂取制限や適度な運動、体重の管理、禁煙などの生活習慣改善が重要です。
- まとめ
細胞外液、浮腫み、塩分、高血圧の関連について、様々な研究が行われています。細胞外液の増加や浮腫み、塩分の摂取過剰が、高血圧のリスク因子の一つであることが明らかになっています。また、細胞外液のバランスを保つためには、適度な水分摂取や塩分の制限が必要であり、運動や体重管理などの生活習慣改善が大切です。高血圧の予防や治療には、塩分制限や適度な運動、禁煙などの生活習慣改善が重要であることが示唆されています。
参考文献:
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