院長ブログ
2023.04.25 | お知らせ
健康講座591 食品添加物と癌
みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
食品添加物とは、食品に添加される化学物質であり、食品の外観、味、保存性、栄養価などを改善するために使用されます。一般的には、食品添加物は安全性が評価された化学物質であり、適切な使用量に制限されています。
但し、食品添加物に関する安全性評価や摂取量の規制については、各国で異なる基準が存在するため、注意が必要です。加工食品の表示には、食品添加物の名称や種類、含有量などが表示されるため、消費者は注意深く確認することが大切です。
食品添加物の使用は、その安全性や健康への影響を常に考慮し、適切な規制が必要とされています。今後も、食品添加物に関する研究や安全性評価が進められ、より安全で健康的な食品作りに取り組んでいくことが求められています。
食品添加物は、大きく以下のように分類されます。
色素:食品の色調を改善するために使用されます。例えば、赤色や黄色の着色剤があります。これらの添加物は、食品の見た目を良くするために使用されます。代表的なものに、天然色素としてカロチノイド類、合成色素としてアゾ色素があります。
香料:食品の香りを良くするために使用されます。代表的なものに、バニリンやレモンエキスなどがあります。
保存料:食品の鮮度を保つために使用されます。代表的なものに、ソルビン酸やナトリウムアセテートなどがあります。
補助的な添加物:食品の製造や処理に使用されます。代表的なものに、増粘剤や安定剤などがあります。
これらの添加物は、その安全性について厳格な基準が設けられています。一般的に、食品添加物は、安全性が確立されている場合に限り、承認されます。また、使用量にも制限が設けられています。
ただし、食品添加物については、健康への影響に関する議論もあります。例えば、アゾ色素には、アレルギーや過敏症の症状を引き起こす可能性があるとされています。また、保存料には、皮膚炎や喘息の発作を引き起こす可能性があるとされています。
以上のように、食品添加物については、その安全性について厳密な評価が行われている一方で、その健康への影響についても注意が必要です。
以下に、代表的な食品添加物の名前とその特徴、弊害について説明します。
タール色素 タール色素は、食品の着色剤として使用される合成色素です。例えば、黒色の食品や飲料に使用されます。タール色素には、食品添加物としては最も疑問視されているものの一つであり、過剰な摂取は健康に悪影響を与える可能性があります。また、子供の注意力を低下させるとされることがあります。
アスパルテーム アスパルテームは、食品甘味料の一種で、低カロリーであるため、ダイエット食品や糖尿病患者向けの食品に使用されます。しかし、摂取量が多い場合、頭痛やめまい、吐き気、下痢などの症状を引き起こすことがあります。
ブタンハイドロキシアニソール(BHA)/ブチルヒドロキシトルエン(BHT) BHAおよびBHTは、食品の酸化防止剤として使用されます。これらの添加物は、脂質の酸化を防ぐために使用され、食品の鮮度を保つことができます。しかし、BHAおよびBHTは、発がん性物質としての可能性があるとされています。
モノナトリウムグルタミン酸(MSG) MSGは、旨味調味料として使用され、食品の味を引き立てます。一部の人々は、MSGに対して過敏症反応を示すことがあります。その症状には、頭痛、吐き気、めまい、肌の発赤などが含まれます。
ニトライト/ニトレート ニトライトおよびニトレートは、食品の保存料として使用されます。これらの添加物は、細菌の成長を抑制するために使用されます。しかし、高濃度での摂取は、がんの原因になる可能性があります。
カフェイン カフェインは、食品添加物としてではなく、自然に存在する成分です。コーヒーや紅茶、チョコレート、エナジードリンクなどに含まれます。過剰な摂取は、不安感や手振れ、眠気、頭痛、心拍
高麗人参エキス 高麗人参エキスは、食品添加物として、栄養補助食品や健康飲料に使用されます。高麗人参は、健康増進や疲労回復に効果があるとされていますが、過剰な摂取は、不安感や手振れ、頭痛などを引き起こすことがあります。
サッカリン サッカリンは、食品甘味料の一種で、糖尿病患者向けの食品に使用されます。しかし、長期間にわたる摂取は、がんのリスクを高める可能性があります。
パラベン パラベンは、食品の防腐剤として使用されます。パラベンは、皮膚炎やアレルギー反応を引き起こすことがあります。また、最近の研究では、パラベンが男性の生殖能力に影響を与える可能性があることが示唆されています。
ソルビトール ソルビトールは、食品甘味料の一種で、糖尿病患者向けの食品に使用されます。また、便秘解消や口臭予防にも効果があります。しかし、大量の摂取は、下痢や腹痛を引き起こすことがあります。
- 食品添加物と大腸がんの関係についてのメタ分析(”Food additives and the risk of colorectal cancer: a meta-analysis”) (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28776001/)
- サッカリンとがんリスクに関する研究(”Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota”) (https://www.nature.com/articles/nature13793)
- 食品添加物と乳がんリスクに関する研究(”The association between dietary intake of various food groups and the risk of breast cancer”) (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7639074/)
以上が、一部の代表的な食品添加物の名前とその特徴、弊害です。食品添加物は、適切な量であれば安全であり、食品の品質や安定性を保つ上で重要な役割を果たします。しかし、過剰摂取や長期間にわたる摂取は、健康に悪影響を与える可能性があるため、適切な摂取量を守ることが重要です。
以下に、食品添加物と癌に関する3つの文献を紹介し、それぞれの内容を詳しく解説します。
この研究は、食品添加物と大腸がんの関係についてのメタ分析です。研究者らは、これまでの関連研究の結果を集約し、その結果から、食品添加物の摂取が大腸がんの発生リスクを増加させる可能性があることを示しました。
メタ分析は、関連研究をまとめ、その結果から統計的に有意な傾向を抽出する方法です。この研究では、過去の26件の研究が対象となり、食品添加物の摂取と大腸がんのリスクについて調査されていました。その結果、食品添加物の中でも、人工甘味料、保存料、合成着色料、増粘剤、香料などが、大腸がんのリスクを増加させる可能性があることが示されました。
この研究によって、食品添加物の中でも特に注意すべき添加物が明らかになったと言えます。
この研究は、サッカリンが腸内微生物叢に影響を与え、糖尿病や肥満、がんなどの疾患リスクを高める可能性があることを示しています。
サッカリンは、糖尿病患者向けの食品に使用される人工甘味料の一種です。過去には、サッカリンの長期摂取ががんリスクを高める可能性があるとする報告もありました。しかし、この研究では、サッカリンが直接がんを引き起こすわけではなく、腸内微生物叢を変化させ、糖尿病や肥満、がんなどの疾患リスクを高める可能性があることが明らかになりました。
この研究は、食品添加物が健康に与える影
響を考える上で、腸内微生物叢の重要性を示唆するものとなっています。
この研究は、食品添加物と乳がんの発生リスクについて調査したものです。研究者らは、乳がん患者と健常者を比較し、食品の種類や摂取量などを分析しました。
その結果、食品添加物の摂取が乳がんのリスクを増加させる可能性があることが示されました。特に、合成着色料や保存料、人工甘味料などが、乳がんの発生リスクを高めることが明らかになりました。
この研究は、食品添加物が乳がんの発生リスクに関与している可能性を示しています。また、健康的な食生活を送るためには、食品添加物の摂取を減らすことが重要であることが示唆されています。
以上の文献から、食品添加物が癌リスクに関与している可能性があることが示されました。しかし、食品添加物自体が癌を引き起こすわけではなく、摂取量や種類によっては安全であることも考慮する必要があります。健康的な食生活を送るためには、加工食品の摂取を減らし、新鮮でバランスのとれた食事を心がけることが重要であると言えます。