院長ブログ

健康講座278 糖質制限食への期待

 みなさんどうもこんにちは。

いつもご高覧ありがとうございます。

 カナダ・マックマスター大学が、5大陸18ヵ国の全死亡・心血管疾患への食の影響を検討した大規模研究(PURE)を報告していたのでございます。幅広い国・地域集団をカバーするデータ解析に基づくものでございます。

糖質制限食(低炭水化物食)と肥満
 日本人に多い2型糖尿病の治療として糖質制限食の治療効果について興味が注がれております。欧米人では日本人に比べ食事の総カロリーに占める糖質の割合が少なく、その分、脂質・タンパク質からのカロリー摂取が増えます。これまでの欧米のデータに基づく解析結果によれば糖質の過剰摂取は肥満を招き、糖質制限の肥満治療に対する有効性は周知されているようでございます。

研究と解析結果
 研究の対象は5大陸18ヵ国(欧米、アジア、南米を含む)の35~70歳の男女で、13万5,335人を登録のうえ、食事摂取量を食事摂取頻度調査票を用いて調査後追跡しました。

 炭水化物、脂質、タンパク質の摂取量をエネルギー比に基づき5分位群に分類のうえ、摂取量と各評価項目の関連を解析しました。

 結論としましては、炭水化物摂取量が多いほど全死亡リスクが高く、脂質の種類に関係なく脂質摂取量が多いほど全死亡リスクは低くかったのでございます。

 短絡的に言えば、糖質制限食+高脂肪食の併用が全死亡を引き下げる可能性をほのめかしており、2型糖尿病治療への糖質制限食へ期待を抱かせる内容であるります。しかし、糖質制限食はリスク因子改善のエビデンスは多くありますが、長期の生命予後改善のヒトでのエビデンスを欠く点が大きな問題として残っています。
参考