Todt D, et al. iScience. 2021;24:102908.
院長ブログ
2021.09.13 | お知らせ
健康講座311 コロナは現金からうつるのか!?
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
紙幣や硬貨を介して新型コロナウイルスに感染する可能性は低いことが、ルール大学ボーフム(ドイツ)分子・医科ウイルス学分野による研究で明らかにされたのでございます。
新型コロナウイルスの主な感染経路は飛沫やエアロゾル(空気中に漂うウイルスを含んだ微粒子)だとされているが、ウイルスに汚染された物の表面を介した感染リスクも否定できないです。さまざまな人が頻繁に触るお金も感染するのではと心配になりますよね。
そこで、紙幣、硬貨、クレジットカードと同じ材質のポリ塩化ビニル(PVC)製のプレート、および対照として用いたステンレス鋼の表面を滅菌。その後、これらを新型コロナウイルス、または無害なウシコロナウイルスを含む溶液で汚染し、ウイルスの安定性を調べたようです。また、試験参加者には、ウイルスで汚染した試料表面を、表面が濡れた状態のときに、または乾燥後に、指先で触らせました。その後、指先に付着したウイルスを培養し、感染性のあるウイルス粒子の数を確認しました。なお、新型コロナウイルスで汚染した試料表面への接触には人工皮膚を用いたようです。
その結果、感染性のある新型コロナウイルスは、ステンレス鋼の表面には7日後でも残存していたのに対して、10ユーロ紙幣からはわずか3日で完全消失したことが明らかになったのです。10セント硬貨、1ユーロ硬貨、5セント硬貨では、それぞれ6日後、2日後、1時間後にウイルス消失が確認されました。5セント硬貨でのウイルス消失が早かった理由については銅製だからだろうと推測されております。日本円では10円玉になりますね。銅の表面でのウイルスの安定性は低いことが知られております。また、参加者の指先から採取したウイルスの培養実験からは、試料表面が乾いた直後に指先で触っても、感染性のあるウイルスの伝播は全く見られないことが判明したようです。
こうした結果から、現金から新型コロナウイルスに感染する可能性は極めて低いと思われます。
なお、今回の実験で用いた新型コロナウイルスは、野生株とアルファ株の2種類であったようです。おそらくですが、現在主流になっているデルタ株などの他の変異株でも、同様の結果が得られるのではと推測されております。変異株が感染力を保持する期間が野生株と変わらないからだと思われます。
参考にしてください。
原著