院長ブログ
2021.09.10 | お知らせ
健康講座307 ケトダイエットとケトフル
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
もしもあなたが、いま流行のケトジェニック・ダイエット(ケト・ダイエット)の実践中に、インフルエンザにかかった時のような頭痛や関節の痛みを感じたら、それはケト・ダイエットのせいかもしれないです――。タスマニア大学メンジーズ医学研究所(オーストラリア)の研究から、ケト・ダイエットを始めて間もない頃に痛みや消化器系の不調などさまざまな症状を経験する人が少なくない実態が明らかになったのです。
脂質を大量に摂取して糖質は控えるケト・ダイエットは、人気の減量法であるようです。ケト・ダイエットでは通常、1日の摂取カロリーの70~80%を脂質から摂取し、10~20%をタンパク質から、5~10%を糖質から摂取することが推奨されているようですね。体の主なエネルギー源である糖質の摂取を抑えることで、脂質の燃焼を促すのだそうです。このような食事法に切り替えることで、体はそれまでとは全く異なる代謝状態にシフトするのでございます。しかし、こうした食生活の劇的な変化が原因で、ケト・ダイエットの開始から数週間で「ケト・インフルエンザ(ケトフル)」と呼ばれる状態に陥り、体調を崩す人もいるというのです。
ケト・ダイエット中の人たちのネットフォーラムへの投稿内容を分析することで、ケトフルの症状や重症度、経時変化などを調べる研究を行った模様です。ケトフルに関するスレッドが立ち上がっているフォーラムの中で基準を満たしたものは43件あり、そこに含まれていた300人のユーザーによる448件の投稿内容が精査されました。
その結果、300人のユーザーのうち101人がケトフルの症状に関する投稿を行っていたことが分かったのです。ケト・ダイエット中の人たちの訴えの中で特に多かった症状は、頭痛、思考力や集中力の低下、便秘などの消化器症状であったが、その他にも、倦怠感やめまい、脈の乱れ、喉の痛み、体の痛みなど多岐にわたっていたそうです。症状に関する投稿は、ケト・ダイエットを始めてから最初の1週間でピークを迎え、その後、数週間のうちに消失する場合が多かったとのことでございます。
ダイエットに取り組もうとしている人たちの多くは、副作用のことにまで気にかけてはいないかもしれません。しかし、ダイエットで副作用が生じることもあると認識しておくことは重要でございます。また、ケト・ダイエットは、脂質を制限しないが、継続が難しいダイエット法であると思われます。野菜や果物、豆類、全粒穀物や乳製品といった健康的な食品に含まれる糖質の摂取も厳格に制限されるため、各種ビタミンやミネラル、食物繊維が不足する可能性があることも懸念されます。
個人的には、緩やかな糖質制限にとどめるのが無難と愚行する次第であります。