院長ブログ

健康講座304 トイレのエアロゾル

みなさんどうもこんにちは。

小川糖尿病内科クリニックでございます。

 あまり居ないとは思いますが、公衆トイレにはあまり長居しない方が良いかもしれないです。公衆トイレの中には大量の病原体が空気中に浮遊している可能性を指摘する研究結果が出てきたからでございます。米フロリダアトランティック大学工学・コンピューターサイエンス学部の研究結果です。


 新型コロナウイルスの主な感染経路は飛沫感染や接触感染である。しかし、尿や糞便の中にも、数は多くはないもののウイルスが生存していることから、その他の感染経路も考えられるといわれております。とりわけ、換気が不十分で、比較的狭いスペース中を多くの人々が行き来する公衆トイレは、新型コロナウイルスの感染リスクが高い場所である可能性があるのでございます。

 今回、通常の便器と男性用の小便器の水を流すことで生じるエアロゾル粒子(固体粒子と液体粒子)に関する調査を行ったようです。エアロゾル粒子とは、空気中に浮遊する液体や固体の粒子と周囲の気体との混合物のことであります。水流により舞い上がるエアロゾル粒子のサイズと数は、便器の前にさまざまな高さで粒子計数器を設置して計測したらしいですね。また、便座カバーを用いた場合を想定して、通常の便器の開口部の上をプレートで覆って水を流した場合の粒子量についても調べたとのことです。

 その結果、トイレの水を流すことにより、0.3〜3μmのサイズの大量の粒子が、少なくとも1.52mの高さにまで、20秒以上にわたって舞い上がることが確認されたのでございます。粒子のサイズ別に算出した増加の割合は、0.3〜0.5μmの粒子で69.5%、0.5〜1μmの粒子で209%、1〜3μmの粒子で50%の増加であったのです。また、開口部を覆っても、粒子の放出を完全には防げないことも明らかになりました。このことは、粒子が便座と便座カバーの間の隙間から逃れ出てくることをほのめかしてます。

 テストでは3時間ほどの間に100回以上の水が流されたが、水を流すたびに環境中のエアロゾル粒子の量は大幅に増加し、最も多いケースでは数万にも達していたようです。通常の便器でも小便器でも、水を流すたびに3μm以下の小さな粒子が大量に放出されていました。この粒子に感染性の微生物が含まれていれば、トイレを使用する人は大きな感染リスクに曝されることになるのです。

 時間とともにトイレ内の空気中に漂うエアロゾル粒子の量が相当のものになるということは、トイレの換気システムによるエアロゾル粒子の除去が不十分であることを意味します。時間が経てば、これらの粒子は換気システムやトイレを行き来する人により作り出された上昇気流によって上昇する可能性があります。

 エアロゾル化した飛沫は、COVID-19に限らず、さまざまな感染症の伝染において中心的な役割を果たしています。重要なのは、狭くて換気の悪い空間での感染リスクが高い証となったことだと思います。

原著