院長ブログ

健康講座288 筋トレのすゝめ

みなさんこんにちは。


小川糖尿病内科クリニックでございます。


厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」において、65歳以上のタンパク質目標摂取量が総エネルギー量の15~20%に改定されております(以前は、18歳以上の全年代で13~20%)。


 加齢と共にアミノ酸から合成される筋肉量が減少するのです。十分な運動を行った場合でも加齢に伴う筋肉量の低下を防ぐことは難しいのでございます。筋肉量の低下は、内臓脂肪の増加やインスリン抵抗性に関与し糖尿病のリスクとなることが報告されています。また、筋肉量の低下は心疾患や死亡のリスクを高めるとの報告もあります。

 筋肉量を増加させるには、各食事でバランスよくタンパク質を摂取する必要があるが、30代以上の過半数で朝食のタンパク質摂取量が不足しているという研究データが示されています。1食でもタンパク質の摂取量が不足すると、筋肉量が低下しやすくなるため、とくに朝食では積極的にタンパク質を摂取する必要があると前回述べたと思います。

 しかし、高齢者では、食が細くなりタンパク質の十分な摂取が難しいこともあるため、より効率的に筋肉を合成できるタンパク質を摂取することが重要だと改めて申し上げます。


 総合アミノ酸40gと必須アミノ酸18gでは、筋肉の合成を刺激する力が同程度であったことが示されています。前回と重複となりますが、必須アミノ酸であるロイシンの含有率を上げることで、筋肉の合成速度が上昇したとも報告がございます。これらの研究データを踏まえ、筋肉の合成には必須アミノ酸がとくに重要だが、ロイシン含有率の高い食品を積極的に摂取することで、筋肉をより効率よく合成できるのです。ロイシンの含有率が高い食品には、乳製品などがあります。


 そして、ロイシンの利用効率を高めるためには運動が重要であり、とくに筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動が有効だとされている。レジスタンス運動2時間後には筋肉の合成速度が2倍になるため、運動2時間後を目安にロイシンを摂取することが望ましいです。


 筋肉量の低下が懸念されているのは、高齢者だけではないですよ。日本では若い女性の「やせ」(BMI 18.5未満)が問題となっていることや、昨今、コロナ禍でテレワークや外出自粛が進んだことで、すべての世代で筋肉量の低下が懸念されているのです。

 個々に合わせた運動と、積極的なロイシン摂取を心掛け、筋肉量を増加させることが重要であるのでございます。