Onozaki A, et al. Obes Facts. 2021;14:550-558.
院長ブログ
2021.12.15 | お知らせ
健康講座412 生涯最大BMIと早期血液透析導入
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
BMIが最も高くなった時の値「生涯最大BMI」が、50歳未満で血液透析が必要となることの独立したリスク因子であるとする研究結果が、東邦大学医療センターの研究で示されたようです。糖尿病の有無にかかわらず、生涯最大BMIは早期血液透析導入のリスクと関連しているということでございます。
この研究は、千葉県内の2カ所の血液透析センターで実施されました。日本人で平均年齢は65.2±13.2歳、男性が72.2%であり、透析導入の原疾患は糖尿病性腎症48.2%、慢性糸球体腎炎18.7%、腎硬化症14.0%でした。生涯最大BMIは28.0±5.2kg/m2で、35kg/m2以上だった患者も9.5%存在し、透析導入時のBMIは22.8±3.9kg/m2だったようです。
生涯最大BMIの三分位で3群に群分けすると、最大三分位群(BMI29.8kg/m2以上)は最小三分位群(同25.3kg/m2以下)に比較して、透析導入時の年齢が若く、糖尿病や睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome;SAS)、増殖糖尿病網膜症の有病率が高く、冠動脈血行再建術の既往者が多いという有意差があったのです。また、生涯最大BMIが高いほど透析導入年齢が若いという負の相関が認められたのです(P<0.0001)。
50歳未満で透析導入に至った患者を「早期透析導入」と定義すると、145人(20.2%)が該当しました。早期透析導入群は50歳以降の透析導入群に比較して、男性が多く(82.1対69.8%)、SASの有病率が高く(9.0対4.3%)、生涯最大BMIが高い(30.6±6.4対27.3±4.6kg/m2)という有意差が認められたのです。
要するにですよ、日本人の生涯最大BMIと血液透析導入年齢との関連を示した初の研究であり、生涯最大BMIが糖尿病の有無にかかわりなく、早期に血液透析が必要となるリスクに関連していることが明らかになったとのことでございます。若年で肥満の慢性腎臓病患者の減量は、透析導入リスクの抑制に有効であることが期待できます。
原著