院長ブログ
2023.05.11 | お知らせ
健康講座636 隠れ肥満と体組成計
みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
隠れ肥満とは、見た目は普通の体型であるにもかかわらず、内臓脂肪が多く蓄積されている状態を指します。内臓脂肪が増加することで、肥満による健康リスクと同様のリスクを引き起こすことがあるため、隠れ肥満については健康上の問題として注目されています。本記事では、隠れ肥満について体組成計を使った科学的根拠に基づいた説明をします。
【隠れ肥満とは】
隠れ肥満とは、見た目は普通の体型であるにもかかわらず、内臓脂肪が多く蓄積されている状態を指します。内臓脂肪は、内臓の周りに蓄積された脂肪で、身体の中での位置や量によって健康リスクが異なります。内臓脂肪が増加すると、肥満による健康リスクと同様のリスクを引き起こすことがあり、隠れ肥満については健康上の問題として注目されています。
隠れ肥満は、見た目が普通の体型であるため、本人や周囲の人が気づきにくく、そのまま健康リスクが高まることがあります。そのため、定期的な健康診断や体組成計を使った測定が重要であり、早期発見・予防が必要です。
【体組成計を使った隠れ肥満の測定方法】
隠れ肥満の状態を正確に把握するためには、体組成計を使用することが有効です。体組成計は、体内の脂肪、筋肉、骨格筋、水分などを非侵襲的に測定することができます。主に、体脂肪率、筋肉量、骨格筋量の測定が行われます。
体脂肪率は、体内の脂肪の割合を示す指標で、隠れ肥満の状態を把握する上で重要な情報です。一般的に、男性の場合、体脂肪率が20%を超えると肥満とされ、女性の場合は25%を超えると肥満とされます。しかし、隠れ肥満の場合は見た目が普通の体型であるため、体脂肪率が高くても気づかないことがあります。
筋肉量や骨格筋量の測定も重要です。隠れ肥満の場合、内臓脂肪が増加することで筋肉量が低下することがあります。そのため、筋肉量や骨格筋量が低下している場合には、隠れ肥満の疑いがあると言えます。一方、骨量は、筋肉量や内臓脂肪の増加によって影響を受けにくく、隠れ肥満の診断には役立ちません。
体組成計には、手足に電流を流すバイオインピーダンス法や、X線吸収法(DEXA法)などがあります。DEXA法は、骨量も同時に測定できるため、骨粗鬆症の検査にも使用されます。一方、バイオインピーダンス法は非侵襲的で手軽に測定できるため、一般的に使用されています。
【隠れ肥満の健康リスク】
隠れ肥満は、内臓脂肪が増加することで、肥満による健康リスクと同様のリスクを引き起こすことがあります。内臓脂肪が多く蓄積されることで、高血圧や高血糖、高脂血症などの疾患の発症リスクが増加します。また、内臓脂肪が増加することで、肝臓に負担をかけ、脂肪肝や肝硬変のリスクも高まります。
筋肉量が低下することで、代謝が低下し、エネルギー消費が少なくなるため、体重の増加にもつながります。また、筋肉量が低下することで、バランス感覚や歩行能力の低下、転倒や骨折のリスクが高まることが報告されています。
内臓脂肪が増加することで、慢性的な炎症が起こり、さまざまな疾患のリスクが高まることも報告されています。例えば、炎症性腸疾患や糖尿病、心疾患、癌、認知症などが挙げられます。
隠れ肥満は、見た目が普通の体型であるため、自己診断が難しく、周囲からも気づかれにくい傾向があります。そのため、定期的な健康診断や体組成計を使った測定が重要であり、早期発見・予防が必要です。
【隠れ肥満の対策】
隠れ肥満の対策としては、以下のようなことが挙げられます。
① 食事の改善 食事の改善により、内臓脂肪を減らすことができます。糖質や脂肪の摂取量を減らし、野菜や果物、食物繊維の豊富な食品を積極的に摂取することが大切です。また、過剰な飲酒は内臓脂肪の蓄積につながるため、控えるようにしましょう。
② 運動 運動により、筋肉量を増やし、内臓脂肪を減らすことができます。有酸素運動や筋力トレーニングなど、運動の種類をバランスよく行うことが重要です。また、長時間座りっぱなしで過ごすことが多い場合は、適度な運動を取り入れるようにしましょう。
③ 睡眠の改善 睡眠不足や質の悪い睡眠は、内臓脂肪の増加につながるとされています。十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠を取るようにしましょう。
④ ストレスの管理 ストレスは、内臓脂肪の増加につながることが報告されています。ストレスを軽減するためには、ストレス解消法や適度な運動、リラックスする時間を作るなどの対策が有効です。
【まとめ】
隠れ肥満は、見た目が普通の体型であるにもかかわらず、内臓脂肪が多く蓄積されている状態を指します。体組成計を使って正確に測定することで、早期発見・予防につながります。隠れ肥満は、内臓脂肪が増加することで、肥満による健康リスクと同様のリスクを引き起こすことがあります。内臓脂肪が増加することで、高血圧や高血糖、高脂血症などの疾患の発症リスクが増加するため、早期の対策が必要です。
隠れ肥満の対策としては、食事の改善、運動、睡眠の改善、ストレスの管理などが有効です。内臓脂肪を減らし、筋肉量を増やすことで、健康的な体型を維持することが大切です。
隠れ肥満については、見た目が普通の体型であるため、自己診断が難しく、周囲からも気づかれにくい傾向があります。そのため、定期的な健康診断や体組成計を使った測定が重要であり、早期発見・予防が必要です。また、健康的な生活習慣の維持が重要であり、日常生活に取り入れやすい対策を行いましょう。
以上が、隠れ肥満について体組成計を使った科学的根拠に基づいた説明になります。健康な体型を維持するためには、定期的な健康診断や、健康的な生活習慣の維持が大切です。
以下に、隠れ肥満に関する参考文献をいくつか紹介します。
鈴木翔太, 磯部恵美子, 小倉康雄. 隠れ肥満の定義と実態. 内科, 2019, 139(6), 667-671.
Matsushita Y., Nakagawa T., Yamamoto S., et al. Associations of Visceral and Subcutaneous Fat Areas with the Prevalence and Progression of Metabolic Syndrome. Circulation Journal, 2010, 74(10), 2083-2090.
田中芳久. 隠れ肥満を知ろう―内臓脂肪が増えるメカニズム. ダイヤモンド社, 2014.
土屋恵美, 宇野修二, 落合佐和子. 健康診断の観点から見た隠れ肥満の実態と予防対策. 日本医師会雑誌, 2016, 109(2), 72-78.
WHO Expert Consultation. Appropriate body-mass index for Asian populations and its implications for policy and intervention strategies. The Lancet, 2004, 363(9403), 157-163.
これらの文献は、隠れ肥満に関する定義や内臓脂肪の測定方法、健康リスクなどについて解説しています。ご参考になれば幸いです。