院長ブログ
2023.12.01 | お知らせ
健康講座787 人工甘味料
皆さん、どうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニック院長です。
最近、甘い飲み物を制限する際によく聞かれる質問があるので、その答えと共に科学的な根拠をお伝えしたいと思います。「人工甘味料はいいですか?」というのがその質問です
まず最初にお伝えしたいのは、人工甘味料が直接的に有害であると断定できる明確なエビデンスは、現時点では確立されていません。しかし、多くの国や研究機関が人工甘味料の使用に慎重な姿勢を取っています。その背景には2つの主要な理由が存在します。
① 甘みが食欲を誘発する
糖質の摂取が食欲を刺激することは、多くの研究によって示されています。例えば、Page et al. (2011)による研究では、脳の報酬系が糖分摂取時に活性化することが示されました[^1^]。このメカニズムは、人工甘味料も含めた甘味が食欲を誘発する一因と考えられます。食欲の誘発は、摂取カロリーの増加や体重増加を引き起こす可能性があるため、ダイエットや脂肪肝のリスク軽減の観点からは注意が必要です。
② 腸内環境を悪化させる可能性が大
腸内環境は、私たちの健康にとって非常に重要な役割を果たしています。Suez et al. (2014)による研究では、人工甘味料が腸内細菌叢のバランスを崩す可能性が示されました[^2^]。腸内環境の乱れは、糖尿病をはじめとする様々な疾患のリスクを高めると考えられています。
最後に、飲料や食品に加えられる人工甘味料は多岐にわたります。全ての甘味料が同じリスクを持っているわけではありませんが、摂取量や種類による影響についての十分な研究がなされていないため、摂取には注意が必要です。
