Yonker LM , et al. J Infect Dis. 2021 Oct 14.
院長ブログ
2021.11.01 | お知らせ
健康講座368 こどもの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の伝番
みなさんこんにちは。
小川DMCLでございます。
さて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したお子様は、無症状であっても他者へウイルスを伝播させ得ることを示唆する、新たな研究結果が報告されました。
COVID-19パンデミックが起きて以来、成人が発症した場合の症状や他者へ感染させるリスクについては多く研究されてきました。しかし、子どもでの研究は成人に比較し大きく遅れているそうです。パンデミック当初は、子どもは感染リスクが低いと考えられていたが、研究が進むにつれて、子供も成人に匹敵する頻度で感染する可能性が考えられるようになってきたのです。
研究の対象は、2020年4月~2021年4月に同院を受診しCOVID-19と診断された21歳以下の患者110人。年齢は中央値10歳で生後2週の乳児も含まれていました。性別は男子が56%で、人種/民族は白人が33%、ヒスパニックが38%だったものです。また、73%は症候性、27%は無症候性で、68%は外来治療で治癒し、入院を要したのは33%だったようです。入院中に酸素吸入や人工呼吸管理を要した患者は16%です。
PCRによって定量化されたウイルス量やウイルスのゲノム配列と、患者の年齢、症状の持続期間、および重症度との関連を検討した結果、年齢はウイルス量と関連がないこと、発症から最初の5日間が最も感染力が強いと考えられること、ウイルス量と重症化リスクは相関しないことなどが明らかになったのでございます。
これらの結果から、新型コロナウイルスの伝播リスクという点では、「乳児、子ども、10代の若者は同等と言える」とし、「子どもはCOVID-19に罹患しても他者にウイルスを伝播させる頻度は低いという考え方は否定された」とのことでございます。そして、この研究の意味するところは、パンデミックを終息に導くために、子ども、若者、成人の全てにマスク着用をはじめとする公衆衛生対策が求められるということでございます。
原著