Nazarzadeh M, et al. Lancet. 2021;398:1803-1810.
院長ブログ
2021.12.04 | お知らせ
健康講座401 糖尿病新規発症を予防する降圧薬への期待
みなさんどうもこんにちは。
小川糖尿病内科クリニックでございます。
降圧治療は2型糖尿病の新規発症予防に効果的な戦略であります。その効果は降圧薬の種類により異なっており、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)およびアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)で良好な結果が得られることが示されたようです。
研究グループは、降圧治療が新規2型糖尿病の発症リスクに及ぼす影響を評価するとともに、5つの主要なクラスの降圧薬の新規2型糖尿病発症リスクに対する効果の違いを検討する目的で、無作為化試験の参加者個々のデータを用い、1段階法によるメタ解析ならびにネットワークメタ解析を行ったようです。
対象は、1次予防および2次予防の効果について特定クラスの降圧薬とプラセボまたは他のクラスの降圧薬との比較を行い、各群1,000人年以上追跡した無作為化比較試験としたものです。
全体では、1973~2008年に実施された22件の臨床試験のデータが解析対象となった。1段階法による個人データのメタ解析には、このうち19件の無作為化比較試験から得られた14万5,939例(男性8万8,500例[60.6%]、女性5万7,429例[39.4%])が組み込まれ、個人データのネットワークメタ解析には全22試験が組み込まれました。
全体では収縮期血圧5mmHg低下で2型DMの発症リスクが11%低下
追跡期間中央値4.5年(IQR:2.0)において、9,883例が新たに2型糖尿病と診断された。収縮期血圧が5mmHg低下した場合、追跡期間中の2型糖尿病の発症リスクは、全体で11%低下したようです。5つの主要なクラスの降圧薬の効果に関する検討では、プラセボと比較してACEI、ARBは、2型糖尿病の新規発症リスクを減少することが示されました。一方、β遮断薬、およびサイアザイド系利尿薬は2型糖尿病の新規発症リスクを増加することが示され、カルシウム拮抗薬については影響が見つからなかったようでございます。
原著