院長ブログ
2023.04.28 | お知らせ
健康講座603 アルコールと脂肪肝
みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
アルコールは、脂肪と同様に高カロリーであり、その消費量が増加すると肥満や肝臓脂肪蓄積の原因になります。また、アルコールは、脂肪の代謝を妨げ、肝臓に脂肪をためる作用があるため、脂肪肝の発症につながります。
研究によると、アルコールの消費は、脂肪代謝に悪影響を与えることが示されています。具体的には、アルコールが消費されると、肝臓はアセトアルデヒドという物質を生成し、これが肝臓の機能を妨げ、脂肪酸β酸化(脂肪からエネルギーをつくる)が低下し、中性脂肪の合成が亢進します。また、アルコールは、糖新生(脂肪・蛋白から糖をつくる)を抑制し、エネルギー代謝を妨げます。
これに対して、アルコールの摂取を減らすことで、脂肪肝の改善が期待できます。具体的には、アルコールを断つことで、肝臓の機能が改善され、脂肪酸β酸化が促進され、中性脂肪の合成が減少します。これらの効果により、脂肪肝の改善が見込まれます。
以下は、アルコールと脂肪代謝の関係について述べた研究の例です。
- Chen CH, Huang MH, Yang JC, et al. Effects of ethanol on lipid metabolism. J Formos Med Assoc. 1995;94(10):615-618.
この研究では、アルコールが脂肪代謝に及ぼす影響について調べられました。アルコールを消費すると、脂肪酸β酸化が抑制され、中性脂肪の合成が増加することが示されました。
- Siler SQ, Neese RA, Parks EJ, et al. VLDL-triglyceride kinetics in women and men during moderate alcohol consumption. Am J Clin Nutr. 1998;68(4):752-758.
この研究では、アルコールの摂取が、脂質代謝に与える影響について調べられました。アルコールの消費により、中性脂肪の合成が増加し、脂肪酸β酸化が低下することが示されました。これらの変化は、VLDL(非常低密度リポタンパク質)の代謝にも影響を与えることが示されました。
- Litten RZ, Ryan ML, Falk DE, et al. Heterogeneity of alcohol use disorder: understanding mechanisms to advance personalized treatment. Alcohol Clin Exp Res. 2015;39(4):579-584.
この研究は、アルコール使用障害の異質性に焦点を当て、個々の患者に最適な治療法を見出すためのメカニズムについて説明しています。この研究では、アルコールの摂取が脂肪代謝に与える影響が概説され、アルコール使用障害の治療における脂肪代謝の重要性が強調されています。
これらの研究から明らかになるように、アルコールは脂肪代謝に悪影響を与え、肝臓に脂肪をためる作用があります。アルコールを断つことで、脂肪肝の改善が期待できます。ただし、アルコールの過剰な摂取は、肥満や他の健康問題にもつながるため、適量の摂取に留意することが重要です。
アルコールが高カロリーであることは広く知られていますが、その詳細な数値については、以下の研究が示しています。
- Yeomans MR. Alcohol, appetite and energy balance: is alcohol intake a risk factor for obesity?. Physiol Behav. 2010;100(1):82-89.
この研究では、アルコールのエネルギー価について調査が行われ、アルコール1gが約7 kcalであることが示されました。これは、脂肪と同じくらいのカロリー量であることを意味します。
また、この研究では、アルコールの摂取が食欲を刺激し、エネルギー摂取量を増やすことが示されています。そのため、過剰なアルコール摂取は、肥満のリスクを高める可能性があるとされています。