院長ブログ

健康講座347 吸入型の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン!?

 みなさんどうもこんにちは。

 小川糖尿病内科クリニックでございます。

 動物を用いた試験で、実験段階にある吸入型の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンが、感染予防に有効である可能性が示されました。このワクチンは、動物から動物への感染も防御したということでございます。

 このCOVID-19のワクチンは、季節性インフルエンザ用の経鼻ワクチンと同じように、鼻腔内にスプレーを吹きかけるだけで接種できるようです。接種回数も1回で済む上に、通常の冷蔵保存で最長3カ月間、保管可能だそうです。

 このワクチンの仕組みは、パラインフルエンザウイルス5(PIV5)を用いて新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の遺伝情報を細胞内に送り込み、ウイルス感染に対する免疫反応を誘導するというものだそうです。PIV5はパラミクソウイルス科に属するマイナス1本鎖RNAウイルスであり、目立った症状を引き起すことなく、容易にヒトを含めた動物に感染するものです。PIV5はこれまでにも、インフルエンザやRS感染症、狂犬病などに対するワクチンでのウイルスベクターとしての役割が検討されてきたのです。過去の動物を用いた研究で、このPIV5をベクターウイルスとしたワクチンにより、別の危険なコロナウイルス感染症である中東呼吸器症候群(MERS)への罹患を完全に防げることを示していたようです。

 本研究では、マウスにこの新しいワクチンを接種したところ、局所的に抗体と細胞性免疫による免疫反応が誘導され、致死量の新型コロナウイルスに対して完全な防御効果が得られることが示されたのでございます。また、フェレットを用いた試験でも、このワクチンを接種したフェレットでの感染が予防されました。さらに、このワクチンを接種した上で新型コロナウイルスに曝露したフェレットと同じケージに入れられていた、ワクチン未接種のフェレットへのウイルス伝播も防げることが確認されたのです。

 現在使用されているワクチンは極めて高い効果を示していますが、より簡単に接種できる有効なワクチンがあるにこしたことはないですね。この新しいワクチンの有効性がヒトでも認められれば、ウイルスの伝播を阻止し、パンデミックを制御できる可能性が期待できます。ただし、当然ながら動物を用いた研究は、必ずしもヒトで成功するとは限らないです。

 原著