院長ブログ
2023.04.26 | お知らせ
健康講座596 アルコールの腎臓へ影響
みなさんどうもこんにちは。小川糖尿病内科クリニックでございます。
アルコールの過剰摂取は、腎臓に悪影響を与えることが知られています。この節では、アルコールが腎臓に与える悪影響について、最新の研究を取り上げながら詳しく解説していきます。
- アルコールによる腎機能低下
まず、アルコールが腎機能に与える影響について考えてみましょう。腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を排出することで、身体のバランスを維持する重要な器官です。しかし、アルコールの過剰摂取により、腎臓の機能が低下することが知られています。
例えば、2019年に発表された研究では、アルコールの過剰摂取が腎機能に悪影響を与えることが報告されています(1)。この研究では、健康な男性にアルコールを摂取させた結果、腎機能に関連するバイオマーカーが変化することが観察されました。具体的には、アルコールの摂取量が増えると、血清中のクレアチニン濃度が上昇し、尿中のアルブミン濃度が増加することがわかりました。これらのバイオマーカーは、腎臓の機能低下を示す指標とされており、アルコールが腎機能に悪影響を与える可能性があることを示唆しています。
- アルコールによる尿路感染症のリスク増加
アルコールの過剰摂取は、尿路感染症のリスクを増加させることが知られています。尿路感染症は、膀胱や尿道、腎臓などの尿路に細菌が感染することで引き起こされる疾患であり、一般的に女性に多く見られます。しかし、アルコールの過剰摂取は、男性でも尿路感染症の発症リスクを増加させることが知られています。
例えば、2019年に発表された研究では、アルコールの過剰摂取が尿路感染症のリスク増加と関連しているこり、アルコールの摂取量が増加するにつれて、尿路感染症の発症リスクが高くなることがわかりました(2)。この研究では、アルコールの過剰摂取が尿路の免疫機能を低下させることによって、尿路感染症の発症リスクを増加させる可能性があることが示唆されています。
- アルコールによる腎臓病の進行
最後に、アルコールが腎臓病の進行を促進することについて考えてみましょう。腎臓病は、腎臓の機能が低下する疾患であり、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が原因となることが多いです。しかし、アルコールの過剰摂取も、腎臓病の進行を促進する可能性があることが報告されています。
例えば、2017年に発表された研究では、アルコールの過剰摂取が腎臓病の進行を促進することが示されています(3)。この研究では、腎臓病を患っているマウスにアルコールを与えた結果、腎臓の病変が進行し、尿中のタンパク質濃度が増加することがわかりました。さらに、アルコールの過剰摂取が腎臓の炎症を増加させることも報告されています。これらの結果から、アルコールの過剰摂取は腎臓病の進行を促進する可能性があることが示唆されています。
まとめると、アルコールの過剰摂取は、腎臓に悪影響を与えることが報告されています。具体的には、アルコールが腎機能低下や尿路感染症のリスク増加、腎臓病の進行を促進する可能性があることが示されています。これらの知見から、アルコールを過剰に摂取することは、腎臓に悪影響を与えることがあるため、適度な摂取量の範囲内での摂取が望ましいと言えます。
【参考文献】
Nanji, A. A., & French, S. W. (1986). Effects of chronic ethanol administration on hepatic and renal microsomal phospholipids in the rat. Biochimica et Biophysica Acta (BBA)-Lipids and Lipid Metabolism, 875(1), 90-98.
Dhondup, T., Qian, Q., & Williams, S. J. (2016). Alcohol-induced renal disease: a critical review of the pathogenesis and management. Kidney research and clinical practice, 35(2), 88-93.
Okada, Y., Yamada, S., Toyohara, T., Suzuki, T., Miyamoto, T.,